(2←1+4)
夜月を肴に、たわいない話をサッチとしていると。いきなり、サッチが。
「・・・・なあ、マルコ。お前、エースのことが好きだろう。」
含みを、多分に込めた。問いかけですらない断定の言葉を、マルコにいきなり寄こしてきたが。
「好きだよい。お前だって、好きだろう?」
生憎、その程度の言葉で動じるほど若くないマルコはサッチの含みを無かったことにして。『家族』としての親愛を口にし、サッチにも同意を求める。
だけど、それは長い付き合いのサッチには容易く見破られ、盛大にため息をつかれるが。
「好きじゃないのかい?」
盛大にマルコもサッチの態度を無視して、再度問いかける。
そうすれば、苦虫を潰したかのような顔をしながら律儀に。
「俺も、好きだけれどよ。でも、俺とお前の好きは。」
「サッチ。」
答えるサッチの続く言葉を、マルコは遮る。否。
「俺もお前のと同じ、好きだよい。」
斬り捨てる。
その問答無用さに。
「・・・・・・。
メンドくせえな、お前。」
好きなら、好きでいいじゃねえかよ。
こめかみを押さえ、サッチは唸るが。
「・・・・『家族』愛で、いいじゃねえか。」
俺は、それで満足だよい。
破顔して、そう言い切るマルコの、嘘も無理も感じられない言葉の前に。
「・・・・・・。
本当、メンドくせえな、お前。」
自身の恋を分かっているうえで、『家族』愛で満足しているマルコに多分な呆れと少しの悲しさを覚えたが。それでもマルコが笑って『今』を受け入れているなら、これ以上外野が言うべきではないだろう。
だから、こつり、と。マルコの額を、やわらかく叩き。
「飲み直すか!」
サッチは、この話は終わりだとばかりに陽気に告げた。
それをありがたく受け取って、まだ封を切っていない酒に手を出しはじめたマルコを見ながら。
(・・・・・ここ、で。認めていたなら、明日は平穏だったろうになあ・・・・・。)
内心で、サッチは黄昏る。
・・・そもそも、何故サッチがマルコの恋愛事情に首を突っ込んだかというと。話題にしていたエースが、相当煮詰まっていたからだ。
(・・・・『好きだ』と言っても、傍に居続けても、背中にくっついていても。
全然、男として見てもらえないんだからなあ・・・・・。)
まあ、恋を自覚する前からエースがやっていたことなので。それでマルコに分かってもらえる確立なんて、絶望的なものなのだが。
(・・・・それでも。言葉や接触に籠められていた、あのあからさまな想いに気づかないのは如何なものかと思うぞ。)
なにしろマルコ以外は、気付いたのだから。けれど本命に全く気付いてもらえないエースは、だからこそ煮詰まっていて。
(明日、絶対にマルコでも分かってもらえることをする。って宣言していたからなあ。)
この鈍いマルコに気付かせるために、エースが何をするか全然予測できないので。だからサッチが一肌脱いで、明日が来る前にマルコに想いを認めさせエースに告白させるまで漕ぎつけてやろうとしたのだが。
(・・・・・強敵すぎるし。)
無理、だった。
(・・・・・・まあ、何されるか分からん不幸が回避できなかったことは自業自得ということで。)
軽く、結論づけたサッチは明日のマルコの運命を見ない振りして。マルコと共に、酒を飲み続けた。
(・・・・・結局、両想いなんだから結果オーライだろう。・・・・・・・・・多分・・・・・・・・。)
久しぶりの21に。違和感を覚えたのは私です(告白)
・・・・・おかしいな、21から始まった1受けなのにな。いまじゃあ、親1に変化している不可思議さ(爆)
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