(親1)
厚着すると動きにくいからと嫌って、薄着でいる白ひげに。
「寒いんだから、ちゃんと着る!」
もこもこの、しかも何枚もあるコートを。体調を崩す前に全部、羽織りなさいとマルコは差し出している。
けれど、嫌そうに眉根を寄せて白ひげは。
「酒飲んでりゃあ温かいから、いらねえぞ。」
素直にマルコから、コートを受け取ることはせず。手酌で酒を豪快に飲んで、そう告げる。
しかし体調を崩すようなことに関しては敬愛するオヤジの言葉に逆らうマルコは、白ひげの手から酒を奪い。
「酒だけで温かくなる気温じゃないよい、今日は!」
だから風邪ひく前に、着る!
代わりにコートを、手に置く。
それに思いきり、眉根を寄せる白ひげだが。
「・・・・オヤジ。
ちゃんと着ないと、怒るよい?」
全く笑っていない声で、目で。最終警告の如きに告げるマルコの、本気で怒りだしそうな気配に。
「・・・・あー・・・・。
分かった。」
ようやく白ひげは、折れ。渋々と渡されたコート全てを羽織った。
それを見て、嬉しそうににこりと笑って。マルコは、取り上げた酒を白ひげに返して。
「・・・身体、大事にしてくれよい。オヤジ。」
健康であってくれと、心から願う言の葉をマルコは落とす。
そんな自身を心配してくれるからこその行動で、声であることを分かっている白ひげは。
「ああ。」
はっきりと、マルコを安心させてやるように力強く頷き返してやる。
その頷きに安心したように顔を緩ませるマルコを、無造作に己の膝に白ひげは乗せ抱きしめたあと。
「・・・・酒やコートだけじゃあ寒いからな。
ここに居てくれ。」
己の腕に囲うマルコの耳元に、囁くよう甘く落とす。
その言葉に、熱でもでたかのように真っ赤になったマルコを満足そうに見て。
「・・・・ああ、あたたかいな。」
白ひげは、しあわせそうに笑って。愛しい命を、抱きしめた。
(あたたかい気遣いをする、あたたかい君が傍にいるなら寒くない。)
寒さで、ついがっとなって書いたssはこれにて終了です。
・・・・そして目次を見かえしてみて。真っ当な親1少ないなあと、ちょっとうなだれたのは秘密です。←全然、秘密にしていないじゃん!
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