(バレンタインで、ガープ×おつる)






海軍の英雄と称される男のもとに、大量に贈られてきたチョコレートの山を見れば。別に自分の分はなくてもいいのではないかと、おつるは思うのだが。

「嫌じゃ!
 おつるちゃんのチョコレートをくれ!」

ガープは必死に、そんな殺生なことを言わんでくれと叫ぶ。
しかし、多種多様なチョコレートの山を見てしまえば。別に自分が作った、不恰好な作はなくてもいいのではないかと思うのだが。

「頼む、おつるちゃん!
 この通り!」

おがみ倒すガープが、あんまりにも必死だから。おつるは気乗りしないけれど、そこまで言うならと用意していたチョコレートを渡してやる。
そのチョコレートを前にして、子供みたいに目を輝かせ。

「いただきます!!」

ガープは、受け取ったと同時に開けて。速攻で食べはじめ。

「うまい、うまい!」

賞賛しかしない。
それに胡散臭げな視線を投げつけながら、おつるは口直しのお茶を渡したあと。

「じゃあ、私。これから仕事があるから。」

ガープの前から、居なくなろうとすれば。

「来年も、楽しみに待ってるからな!」

気の早すぎる、おつると来年もつきあっている前提の言葉をかけてくるから。

「・・・・楽しみに、してなくていいよ。」

赤くなった頬を見られないよう、動揺した顔を見られないよう隠して。おつるは素っ気なく立ち去る。
けれど隠しきれなかった赤い耳を、ばっちりガープに見られていることに気づいていないおつるは。

(・・・・もう少し。チョコレート作り、勉強しよう。)

来年、渡す分はもう少しマシなものにしようと。努力しようと、決めていた。





(素直じゃない彼女と、素直な彼氏。)






毎年、同じやりとりしていたら可愛いと思います(笑)








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