(英雄×大参謀)







いま、おつるの執務室は。ただ1種の花だけが、数個の花瓶一杯に飾られている。
その花々を、嬉しそうに照れ臭そうに見ながら。おつるは、真っ赤な顔でくすぐったそうに笑う。
・・・・昨日、たわいない会話の中で。この白い花が好きだと、ガープに零したのだ。
真っ白に、真っ直ぐ咲く姿に。このように在りたいと憧れる、とおつるが言った次の日。



「おつるちゃん!これ、やる!」



両腕一杯に、白の花を抱えて。ガープがおつるの元に訪れ、贈ってくれた。
いきなりの贈りものに驚いて、瞳を瞬かせるおつるに。

「この花、好きだって言ってたから、やる!」

単純明快な言葉とともに、ガープは笑って花々をおつるに渡したすぐあと。部下から溜めこんだ仕事のために呼び戻しされたため、おつるの執務室から出て行った。
だから、お礼をきちんと言えないままガープを見送ったおつるだったけれど。渡された花々を、慌てて枯れないように花瓶にいれたあと。



「・・・・・好きだって言ったから、やるって。どんな贈り文句なんだか。」



真っ赤になった頬は甘やかに緩み、照れに潤んだ瞳は優しく細まり。楽しそうに綻ぶ唇は、わざと皮肉っぽく言葉を紡ぎだす。
そうして、喜びを噛みしめるように再び花瓶のなかで揺れる花々を見て。しあわせに笑ったおつるの姿を、白の花だけが見ていた。








(自分の好きな人から、自分の好きな花を贈られる、しあわせ。)











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