(英雄←大参謀)






それ、を。おつるが聞いたのは偶然だった。
たまたま談話室を通りかかった時に、どんな女性が好みか苦手かという男達のたわいない話が中から聞こえてきたのだ。
そして、その偶然のときに。おつるの耳に届いたガープの。



『・・・・・怒る女性は、苦手じゃな。』



あの一言が、いつも好きに動くガープを怒って連れ戻しに来た自分を苦手だと言っているように想えて。

「・・・・・・っ・・・・・!」

早足で逃げ出すようにその場から、談話室から離れ。その日以降、おつるはガープを連れ戻しに行かなくなった。
そうして、ガープから苦手と想われないように日々を過ごしてきたのに。



「・・・・・・ガープを、連れ戻せ・・・・・・?」



目の前のガープの部下である男から。おつるに告げられたのが、これである。
・・・・またも仕事を抜け出して勝手に動いているガープの連れ戻しに、センゴクの手が空いていないために回されてきた頼まれ事に。

「・・・・・・あの、馬鹿は・・・・・・!!」

痛そうに頭を押さえ、悪態をつきつつも。どう、断ろうかと思案するおつるだったが。

「頼みます、おつるさん!!!」

自分の非ではないのに頭を下げ、必死に頼みこんでくる姿に拒否の言葉が出せるはずもなく。

「・・・・・分かったよ。」

普段よりもトーンが下がった声で、おつるは引き受けた。







(・・・・彼の苦手な女性でありたくないという本心を、このときだけ。目を瞑って、見て見ぬ振りをした。)









やはり両片思いが好きなので、こういう展開になっております(笑)








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