(おつる←ドフラミンゴ)
・・・・おつるは今、大変困っていた。
海賊たちの悪行、身内の問題児の自由な振るまいや仕事のことで、困っているのではない。
彼女の頭を悩ませているのは自身の執務室の机にデンと置かれている、ふわふわ、ふさふさとした。派手なピンク色をした羽毛の大きな、大きなコートである。
・・・・・最初に断っておくが、決してこのコートはおつるが買ってきたものではない。
先日、海賊の暴虐から助けた冬島の権力者が、ならず者たちを叩きだしたおつるにお礼として送ってくれたものだ。
コートと一緒に添えられていたメッセージによると。『このコートは、この島だけに生息している鳥の羽から作られたもので。保温性に優れているから、どうぞ寒い時に使ってください』とあった。
文面を見る限り親切心から、贈ってくれたものなのだろうが。
「・・・・・・こんなデカイの、私にどうしろと?」
あきらかにサイズが男もので、女の自分には合わない品だ。
けれど好意でくれたものを捨てるわけにもいかないし、かといってこんな派手なピンクを誰かにあげるのは嫌がらせに近い。
なので、どうすることも出来ないコートを前にして。おつるは、疲れたため息を一つ落とし。
「・・・・・タンスの肥やしにするしかないねえ。」
仕方ないかと、肩をすくめ。コートを袋に入れて、直そうとしたのだが。
「フッフフフ!
もったいねえことするなあ、おつるさん!」
許可なく勝手に入ってきた男に、奪われてしまい。それは、出来なかった。
「・・・・・ドフラミンゴ。
部屋に入るときは、ノックぐらいしな。」
言っても聞かないだろうから、無駄だとは思うが。それでも、とりあえず言っておくのだが。
「高い品だぜ、こいつは!
それを仕舞ったままにするなんて、宝の持ち腐れもいいところだ!」
案の定、全く聞いていないドフラミンゴは、奪ったコートを品定めしながら話し続ける。
そんなドフラミンゴの態度は予測の範囲内なので、別段おつるは気にもしないまま。気にいった服を振り回す子供みたいに、その派手なピンクを扱う男に。
「・・・・・着るなら、その服。あんたに、あげるよ。」
完全に男の趣味ではないコートを、多大な嫌がらせと少しばかりの意趣返しを込めておつるは言ったのだが。
「・・・・・・・・・・。」
言われた男は、かちんと固まってしまった。
おや、と首を傾げるおつるの前で。ドフラミンゴは常の饒舌からは想像できない、ぎこちなさで。
「・・・・・俺、に。くれる、のか・・・・・?」
たどたどしく、尋ねてくる。
てっきり「こんな趣味の悪ぃ服なんざ着ねえから、いらねえよ」と言うとばかり思っていたので。少しばかり拍子抜けしながら。
「・・・・タンスの肥やしにするより誰かが着たほうが、その服にとってもイイことだろうから。
着るなら、持っていってもいいよ。」
おつるは、もう一度。ドフラミンゴに繰り返し、答えてやる。
その答えに。
「・・・・おう。」
ぶっきらぼうに返事をし。手にした派手なピンクを、ドフラミンゴは躊躇うことなく纏った。
その思いがけない展開に。
「・・・・・・・・・・・ほ、ほんとに。それ、着るのかい・・・・・・・・?」
思わず、自身で言ったことながら。問わずにはいられなかった、おつるに対して。
「フッフフフ!
着ないと、くれないって言ったのはアンタだろうに!」
可笑しそうに笑いながら、ドフラミンゴは上機嫌に答える。
そうして、寒くもないなか着こんだコートを嬉しげに揺らし。
「もう、これは俺のだから返さねえからな!」
楽しそうに、高らかに告げてから。万が一にも取り返されることがないように、勝手に部屋に入って来た男は、勝手に部屋から出て行った。
「・・・・・そんなに、あのコート、高い品だったのかねえ・・・・・?」
元から着ていた服と全く合わないコートを、あれだけ喜んで着て帰っていく理由がそれしか思いつかないでいるおつるは。
「・・・・・フッフフフ!
今日は最高な日だ!」
己の船に戻る道すがら、宝を手にした海賊の満足な笑い声の意味を。一生、理解できないことだろう。
(・・・・惚れた女からの、はじめての贈りものを。宝と言わずして、何という?)
はい、捏造大好きっ子ですみません(土下座)
ドフラミンゴが着ているピンクコート見て、こんな斜めを思いつく残念思考で本当すみません(深深土下座)
しかし、それが楽し(殴)
・・・・・でも、おかしいな。なんだかドフラミンゴが可愛い気(?)がする、もっと歪んだ感じで書こうとしたのに、あれ??
相変わらず、予定が未定すぎるな私(汗)
精進せねば・・・・って何回、想ったことだろう私。←落ち込む前に、頑張れ!
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