(元帥×大参謀)






・・・・文書を書くことは、慣れている。
元帥という立場上、現場に出張るより書類仕事が多いのだから慣れているはずなのだが。

「・・・・ああ、また書き損じたか・・・!」

仕事に関係ない、彼女に宛てる私的な手紙はいつだって慣れず。さきほどから失敗しては、センゴクは書き直しばかりしている。
そして日々、書類で培われてきた公式文書として使えるほどの流暢な文字を紡げる手は。おつるに対して、想い故に、いまだ緊張を覚えるために。

「・・・・・・ああ、くそ!またか!!」

力加減を間違えまくり、歪な文字ばかり紡ぎだしている。
けれど、こんな下手くそな汚い文字を恋人に送るわけにもいかず。またもゴミ箱行きになる便箋は、既に数十枚を軽く超えている。
しかし、妥協することなくセンゴクは書き直し続け。ようやく便箋1枚分の手紙を半日かけて書きあげ、それを丁寧に封筒に入れ、遠征で本部から長い間離れている彼女の元に送った。









・・・・・・・一か月後、センゴクが出した手紙は確かにおつるの元に届いた。
それを部下から渡され、目にしたときに浮かべたおつるの笑みは穏やかな海のようで。内容を読んだときに浮かべた、感情を宿した瞳は優しい空のようで。
見ていた者に、変わることない自然の美しさを想い起こさせた。
けれど、そんな周りの気持ちなぞ一顧だにせず。センゴクから届けられた、常の彼からは想像できない間違えた綴りがある手紙に込められた気持ちだけ汲み取り。



(・・・・・いつになったら、私に慣れるんだか・・・・・。)



いつまでたっても不器用な男を、おつるは好ましそうに笑い。離れて久しい恋人に、返信をするために歩き出した。






(遠く離れていても、想う貴女に慣れることない男の純情。)









館坂さまから、ありがたくも頂いたネタで書き上げましたv
字を綺麗に書くことに集中しすぎて、うっかり誤字するセンゴクを。可愛いとおつるさんは、こっそり想っていたらいいです。
遅くなりましたが、どうか受け取ってくださいませ館坂さま!返品も可ですから(爆)
少しでも喜んでもらえたら嬉しいですv





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