(英雄×大参謀)
今日も今日とて、煎餅持参でおつるの執務室に来て、お茶を飲んでいたガープだったが。突然、いびきをかいて寝入ってしまったために。
「・・・・まったく。せめて湯飲みを置いてから、寝てほしいね・・・・。」
こぼして火傷でもしたら、大変だろうに。
ガープの奇妙な癖ー唐突に場所を選ばず寝るーに呆れたため息をつきながら、おつるはガープに近づき。飲みかけのお茶をガープの手から抜き、テーブルに置いてやる。
おつるが近づいても、触れても呑気に警戒心なく寝続けているガープに、ちょっとだけくすぐったい気持ちになりながらも。普段より深く寝入っている様子のガープに、疲れているのかなと少し心配になったから。
「・・・・ガープ。ここで寝るより、仮眠室に・・・・。」
眠っている男の肩を揺すり、起こして仮眠室に行かせようとしたおつるに。寝入っていたガープの身体が傾き、もたれかかってきたので。
「・・・・な、な、な、な、な、・・・・!!!!」
真っ赤になって、おつるは固まる。
ちょうど立っていたおつるの右肩に、座って寝ていたガープの頭がもたれている体勢に。今にも気を失いそうで、倒れそうになっているおつるだが、ここで倒れてしまえば一緒にガープも倒れてしまい。
そうなると、ガープに床の上に押し倒しされているような体勢になってしまうと考えが及べば、なにがなんでも倒れる訳にはいかなかったが。
「・・・・あ、ううぅうぅ・・・・!!!」
こんなに近くで、想い人と触れあったことなんて初めてなので。真っ赤になったおつるの意識は、今にも飛びそうになっている。
(・・・・ど、どうしたらいいんだろう・・・・!!)
大参謀とまで称された彼女の頭脳は、慌てふためきすぎて。未だに呑気に眠っている男を、ただ自身から引き離せば状態は戻るということを思いつきもしないまま。
(・・・・ど、どうしたら、いいんだろう・・・・!!!!!)
おつるは、ただただ真っ赤になって固まって。触れあったあたたかさに心臓を、頭脳を乱され続けている。
そんななか、未だに呑気に、おつるにもたれかかって眠っているガープだったが。
「・・・・んー・・・・。」
だんだんと、意識が浮上し初めている。
そして、意識を完全に取り戻し目を開けた瞬間。ガープは、真っ赤になって固まる。
何がどうなって、こんな、自分がおつるの肩にもたれかかっている状態になってしまったのか、寝ている間のことなので分からないガープは。けれど、その理由をおつるに聞くという考えは浮かばないで。
(・・・・おつるちゃんが、ワシを引き剥がすまで。このままで、いてもいいか・・・・。)
思いがけない触れあいを、状況を長引かせようという考えが浮かんでいる。
・・・・最近、本当につい最近になって。おつるのことをガープは、『特別』に意識しはじめていた。
けれどガープは、さんざん家族のことをおつるに惚気ていた過去があり。その惚気に、全く普通に付き合ってくれたおつるを長年知っているだけに、全然、己は異性として『特別』に意識されていないとガープは想っているために。
おつるに抱く『特別』な感情を、まだ何一つ言えてなかった。
言って気まずくなることが嫌で、でもそれ以上に言っておつるが自分と距離を置くかもしれないことが嫌すぎて。普段みたいに、言いたいことを言うことが出来ないでいるガープは。
ガープが起きていることにも気づかないで、全身真っ赤にして『特別』に意識しまくって慌てているおつるに気づきもしないで。
(・・・・おつるちゃん、あったかいなあ・・・・。)
呑気に、ガープはおつるとの触れあいを堪能していた。
(互いに真っ赤になった表情を見れば分かる、触れあった相手への『特別』さは。けれど以外と己の感情だけで一杯一杯になっているために、微塵も気づく気配が互いにない。)
あと1歩で成就するであろう両片思いが特に好きなんで、今回、それにしてみましたv
少しでも気に入ってもらえれば幸いです!リク、ありがとうございました!雪流様!!(土下座)
戻る