マルコ思春期篇ー告白された篇ともいうー
やわらかな日差しが差し込み、穏やかなあたたかさをしんしんと降り積もさせている一室のベッドのうえ。一人の少女が、一人の男を押し倒していた。
キラキラとした金の髪を少し乱し、青の瞳には切羽詰まった色が見れる十五歳ぐらいの少女は可愛らしい容姿と裏腹に。
大胆にも金の髪をした、四十歳ぐらいの男が簡単には起き上がれないように腰のうえにまたがって。
「・・・・オヤジ、好き・・・・!」
家族以上の想いを、あからさまに込めた音を口から落とす。
けれどそれを聞いた、少女に押し倒されている男は。
「・・・・マルコ。俺の上から、降りろ。」
困ったように、かすか眉を寄せて。家族に向けるには、あまりに強すぎる感情を宥めるような声で、少女ーマルコーが離れるように促すが。
「・・・・いや。降りなくない。」
マルコは、きっぱりと拒否する。
そして降りずに、己のしたにいる男ーニューゲートーの首に抱きつき。隙間もないほどにくっついて、離れることなぞありえないのだというかのにように、ぎゅうっと抱きつく力を強くする。
そのマルコの行為に、どう言えば素直に離れてくれたものかとニューゲートは、更に眉を寄せ悩むが。抱きつき、たくましい首筋に顔を埋めているマルコは、そんなニューゲートに気づかないまま。
「オヤジのこと、愛しているんだよい!」
懸命に、愛を告白する。
けれど、マルコのことを娘だと。十年も家族として一緒に過ごしてきた可愛い娘だと思っているニューゲートは、マルコの愛に簡単には応えない。
その沈黙にグシャリと顔を歪め、泣きそうになるマルコだったが。でも、応えてくれないニューゲートの気持ちも分かるのだ。
・・・・何故なら、マルコのことを娘として愛しているのだということを、身を持って知っているから。父親として応えられない気持ちも、本当は分かっているのだ。
でも、そんなニューゲートの気持ちを知っているけれど、分かっているけれど。マルコは、それでも応えてほしいのだ。
だって、あの日。
両親を失ってから辛くて苦しくて寂しくて堪らなかったマルコに、娘にならないかと声をかけて、手を差し出してくれたニューゲートのあたたかさに。ずっと、ずっとマルコは恋して、愛してきたのだ。
他の人が入る余地もないぐらいに、心から好きだと。心から愛を言えるのは、これまでも、これからもニューゲートしかいない。
だから。
「オヤジに相応しい女に、なるから。気に入らないところがあるなら、全部なおすから。
だから!」
私を、オヤジの女にして!
ニューゲートに、抱きついた体勢のまま。マルコは言うと同時に、ニューゲートの唇に口づける。
流石に告白されたあと、キスをされるとは思ってもみなかったために固まるニューゲートに構うことなく。マルコは、唇だけでなく頬や目尻、額と鼻の頭と、ニューゲートの顔中にキスを降らし続ける。
そうして、キスをするだけでなくニューゲートが着ているシャツのボタンまで、マルコは外そうとするから。
「ま、て。待て、待てマルコ!」
慌ててシャツのボタンを外そうとするマルコの手を掴んで、止めるが。自身の腕を掴むニューゲートの手に、腕に今度はキスをマルコは降らす。
軽く触れるだけの、可愛いらしい音をたててのキスは、けれど一つ一つに愛を込めてマルコが落としていくために。
「マルコ、止めろ!」
なんだか気恥ずかしさというか、甘酸っぱいむずがゆさを覚えたニューゲートが止めるように言うが。
「・・・・止めたら、オヤジの女にしてくれる?」
互いの唇が触れそうなほどの、近すぎる距離で。マルコは、ニューゲートが頷かないだろうことが分かっていることを口にする。
案の定、頷かないニューゲートを可笑しそうに、泣きそうに見てから。
「じゃあ、止めないよい。」
マルコは、キスを再開する。
この思春期篇(別名・15歳マルコが愛ゆえに暴走してオヤジを押し倒して、告白するよ篇)と、幼少期編の2本立てとなっております。
・・・・ちなみに、押し倒ししてもエロはないです。(きっぱり)キスはしていますが(笑)
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