(剣士×音楽家)
・・・・今日は、デートであった。
ゾロと、初めてするデートであったのに。
「・・・・治った!私、治りましたから、ゾロさん!」
「咳も治まらず、鼻水も止まらない体調のくせに何を言うか。」
風邪を思い切り引いてしまった自分が恨めしい。
「・・・・だって、せっかくデートなのに!できないなんて、延期になるなんて悔しいじゃないですか?!」
ふらふらと、ブルックは横たえた身体を起こそうとするが。
「病気の時に無理して、悪化したらどうする?今は、きちんと休んで治すことに専念しろ。」
ゾロは、それを許さず。起きようとするブルックの身体を制して、横になって休めるように戻した。
風邪のせいなのか、楽しみにしたデートを台無しにしたという悔しさなのか。ものすごく項垂れているブルックに、困ったように笑い。
「とにかく風邪が治るまでは、おとなしくしていろ。その状態だと、起きて出かけてもすぐに倒れて船に戻るだけだ。」
ゾロは、優しく諭す。
「〜〜〜〜ううううう!」
分かるけど分かりたくないとばかりに唸り、何とかゾロとデートをしようと風邪で朦朧とする意識で必死に考えているブルックに。
「治ったら、行けばいいだろ。何回でも。」
「・・・・なんかい、でも?」
「おう、何回でも。」
別に今回できなくても次がある、その次だってあるのだからと諭し方を変える。
するとブルックは最初はポカンとしていたが、徐々に表情に喜色を帯びさせ。
「・・・・うん、そうですよね!治ったら、デートして!また、デートするんですよね!!」
だって、ずっとずっと恋人なんですからと繰り返して笑う。
一転して上機嫌になり、おとなしく寝ると言い出したブルックは。先ほどの発言で少し赤くなっているゾロに。
「・・・・今日はゴメンなさい。あと、その、ありがとうございます!」
体調管理出来ずに風邪を引いたことへの謝罪と、台無しにした自分を怒らず次があると言ってくれたことが嬉しかったと感謝して。静かにブルックは、寝息をたてはじめた。
ようやくおとなしく寝たブルックに、優しい笑みをむけ。
「おやすみ、ブルック。良い夢を。」
柔らかな黒髪を、優しく梳いて。体調の悪い彼でも食べられるおかゆでも作り、少しでも喜んでくれればいいなとゾロはキッチンへ向かった。
(起きた恋人が、そのおかゆを見て泣いて喜んで。やはりデートしたいと、再びテンションをあげて言いだして起き上がることを諦めさせるのに多大な時間と手間がかかることになるとは、この時の彼は知るよしもなかった。)
久々更新のせいか、ゾロがブルックに対してあまりヘタレじゃない(ギリィ)←おい
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