航海士→剣士×音楽家で航海士視点。
ナミの扱いが悪いのでナミ好きなかたは注意!
暇さえあれば部屋にこもって修業ばかりしていた男が、ある日を境に甲板に出てくることが多くなった。
そして普段から険しい顔が標準である男が、ある日を境に穏やかな顔をして笑うようになった。
そんな露骨なまでの変わりようをした男を横目で見ながら、ナミは日誌をつける。
男ーゾローは、弾みながら歌うブルックの傍に今日もいて。昼寝すら惜しんで、ブルックを見ている。
楽しそうに、優しげに。そして多分に愛しさを込めて、ただ一人をゾロは見ている。
(・・・・どこがイイのやら・・・・。)
50年前の約束を果たそうとする意志の強さは人として尊敬できるし、音楽の腕前もすごいと素直に感嘆できる。
人柄も悪くないから、仲間としてなら好意と共に受け入れられる彼は。だけど、外見は骸骨だ。
かろうじてアフロは残っているけれど、あとは骨ばかりの彼を。恋愛対象として見るゾロが、信じられない。
(・・・・・イイ女が、ここにいるのに。何で、ブルックなわけ?)
失礼な話だが、自分が彼に劣っているとは思えない。ナミは女でスタイルだって悪くない生身で、ブルックは男で骸骨だ。
だから、ナミとブルックのどちらかを恋人にしなければならないならどちらを選ぶ?という質問に大抵の男は、ナミを迷わず選ぶだろうが。・・・・・・ブルックにアンコールを頼むゾロは、迷わずブルックを選ぶのだろう。
(・・・・どこ、がイイのやら・・・。)
全くもってブルックの何がイイのか、さっぱり分からないナミは。だから、思考を放棄して立ち上がり。
「サンジ君、飲み物頼める?」
気分転換を兼ねた、逃亡をすることにした。
・・・・これ以上、あんな甘い顔をしたゾロを見るのが嫌で早足になるナミの背に届く歌もなんだか甘いものだから、もしかしたら両思いなのかと浮かんだ考えを振り切るようにして二人から離れてから。
空を仰いで、盛大なため息をナミはついて自嘲する。
(・・・・本当、ゾロなんかのどこがイイのか。私。)
・・・・・・ナミの扱い、悪くてごめんなさい(脱兎)
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