(剣士×音楽家)









傷で塞がれた、もう開くことのないゾロの左目を。悲しそうに、ブルックは白の指先でなぞろうとするが。

「・・・・・。」

皮膚も肉もない、骨だけの指で触れてしまえば。ただでさえ傷ついている箇所を更に傷つけてしまいそうで、怖くて白の手は離れようとする。
しかし離れていこうとするブルックの指先を、ゾロはとり。塞がった己の目に、触れさせて。

「んな、柔じゃねえよ。」

別れる2年前と変わることのない、穏やかな笑顔を浮かべて言った。
その変わらない笑顔と、変わってしまった左目に。なんだか無性に泣きたい気持ちになりながら、ブルックは。



「・・・・私に目玉があれば、ゾロさんに差し上げたのに。」



惜しむことなく、当たり前のように。簡単に、己を省みない音を口にする。
だが、そんな発言を許すゾロではないので。戒めるように、ブルックの額にデコピンをする。

「・・・・・痛いです、ゾロさん。」

加減されまくったものであるが、もともと力がありすぎるゾロからのデコピンなので痛い。
けれど、涙声で訴えるブルックの声にフンと鼻を鳴らし。

「今でも、ちゃんとお前の顔が見えているんだ。
 目玉なんぞ、一つで充分だ。」

だから、もしお前の目があって。くれるとしても、受け取らねえよ。

ゾロは、はっきりと斬り捨て。己を大事にしない、想い人を抱きしめて。

「そんなものより、他のものをくれよ。」

楽しそうに、ねだる。
久しぶりの抱擁に、どきどきしながら。首を傾げて、ブルックは。

「他、ですか?」

不思議そうに、問いかえす。
その言葉にゾロはひどく甘ったるい、けれど意地の悪さも含んだ笑みを浮かべ。

「手始めに、キスからでいいぞ。」
「きっ!?」

しかも、手始めとか言ったし!

さらりと、ブルックを混乱に落とす一言を放つ。
そして、さらに続く言葉に。

「あとは、そうだな。抱かせ・・・・。」
「ゾロさん!」

真っ赤になって、ブルックは泣きそうに叫び。なんとか、逞しい腕のなかから逃げ出そうとするが。

「俺が、お前を離すわけねえだろうが。」

ブルックの抵抗なぞ、幼子の抵抗としか思えないゾロから逃げ出せるはずもない。
そして、いつまで経ってもブルックからキスしてくれないことに焦れたゾロは。

「くれねえなら、勝手にもらうぞ。」

そう、宣言する。
そしてブルックの返答を待たずに、ゾロはブルックにキスをして。次にしてくれないことを、勝手にもらうためにブルックを優しく押し倒した。
強制的に見上げる態勢になったことに、ブルックは暫し固まるが。しかし、なんとか遠慮なしに触れてくるゾロの手から逃れようと足掻くが。

「・・・俺が、お前を手離すわけねえだろうが。」

あっさりと抵抗は無きものにされ。2年ぶりに再会した恋人に、ブルックは翻弄されることとなる。








(恋しい相手がくれるものは、愛だけでいい。)











61巻読んだ影響でしょう。ネタ神様が、えらい勢いで降りてきました。
そして、このss。30分で書き上げました(爆)
はははは、バレンタインss放りなげて何してんだかなぁ私(乾いた笑い)






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