バレンタインで、布骨。





太陽、みたいな笑顔を。ブルックに向けながら。

「ブルック!やるよ、これ!」

ヨーキが、ブルックに渡してきたものは。大きな、大きなハート型のチョコレートであった。
けれど、いきなり仲間たちがいる前で。渡されてきた、大きなそれに。

「・・・・・・・。」

ブルックは、言葉も出ずに暫し固まる。
だけど引きつった表情を浮かべながらも、なんとか。贈り物の礼を、ヨーキに言おうとしたブルックの唇に。



ヨーキは。触れる、だけの口づけを落とす。



そうして、少しだけ。いまだ唇が、かすか触れ合う僅かな距離だけ、離れてからヨーキは。



「ハッピーバレンタイン!」



心底、嬉しそうに告げた。・・・・・・・が。

「・・・・・・・。」

大勢の前でキスされたブルックは、全身赤くして。羞恥故か怒り故か震えて、ヨーキの言葉に答えないでいる。
そして。

「あっちーなー!」
「ひゅーひゅー!」

恋人たちの触れあいを、半ば強制的に見せつけられた仲間たちは。
自棄になったように囃し立てたり、羨ましそうに見たり。今は沈黙しているけれど、ブルックに後から何かされるだろうヨーキを心配しながらも、巻き込またくなくて距離をとったりしている。
けれど、真っ赤になって動かない恋人も、色々な反応をする周りも、全然気にしないでヨーキは。しあわせに笑いながら、ブルックを抱きしめ続けていた。








(大胆な愛の告白。)









・・・・・このあとに起こることは、割愛させていただきます(爆)










バレンタインで、藻骨。





いつもより、眉間にシワを寄せたゾロが。

「・・・・やる。」

ぶっきらぼうに、ブルックに渡してきたのは。小さなチョコレートの詰め合わせだった。

「あ、ありがとうございます。」

この時、ちょうど紅茶を飲んでいたブルックは。思いがけないお茶うけに喜んで、笑ってゾロから受け取り、食べていると。



ガンッ!!!!



何かが、叩きつけられる音が近い距離でした。
何事かと、周りを見渡したブルックの目に映ったのは。

「なんだよ、一口ぐらい良いじゃねーか!」
「良くねーよ!!!」

真っ赤になった右手をプラプラさせて、不満げにしているルフィと。ルフィを睨み付け、立ちふさがっているゾロだった。
・・・・おそらく、一人だけチョコレートを食べているブルックを見つけて。分けてもらおうと伸ばしてきたルフィの手を、ゾロが叩き落としたのだろう。
そのことに、気づいたブルックが。ルフィに、ゾロから貰ったチョコレートをお裾分けしようと、近づこうとすれば。

「分けては駄目よ、ブルック。」

苦笑しながら、ロビンがブルックを引き止め。

「愛の贈り物を。奪っては駄目よ、ルフィ。」

そして、ルフィを諭しながら。ハナハナの能力で出した腕で、連れていく。
だけど、残されたブルックは。



「愛の、贈り物?」



先ほどゾロに渡されたチョコレートを見つめながら、不思議そうに首を傾げるが。

「・・・・・・・・!」

今日が何の日か思い至り。慌てて、ゾロを振り返る。

「・・・・・・・・・・・。」

そうすれば、かすか、顔を赤らめ。口を片手で押さえているゾロの姿が、ブルックの目に映った。

「・・・・・・・。」

そのゾロの姿を見て。ブルックも言葉を発せず、ただ震えてくる手で口を押さえ。

「・・・・・・・・あ、ありがと、うございます。」

先ほどとは、違う喜びを込めて。礼、を言う。
そうして、さっきとは打って変って。大事そうに、大切そうにチョコレートを食べはじめたブルックに。

「・・・・・・・おう。」

先ほどの比ではないほど、赤くなった顔を押さえながら。しあわせそうに、ゾロは答えた。







(控えめな愛の告白。)







ヨーキ船長より、良い目をあっているゾロですが。多分、このあと空気を読まないルフィに乱入され、切れることになると思います(爆)









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