ホワイトデーで、布骨。
非常に厳しい表情で、固い声音で。
「・・・・・少し。つきあって、もらっていいですか?」
ヨーキに尋ねるブルックに。
(((((((なにやった、船長!??)))))))
それを見聞きしたクルーたちは、ヨーキの日頃の行いを良く知っているために。「また何かやって、ブルックを怒らせたのか」と戦慄していたが、言われた当の本人は。
「いいぞ。」
軽く、軽く返して。あっさり、ブルックについていく姿を「すごい」と皆が思った。
先月のバレンタインにて、ブルックにあれだけの目にあわされても。それでも微塵たりとも懲りていないし、ブルックへの愛が変わってないことに心底、尊敬する・・・・・・・が。
あのバレンタインの惨劇を皆知っているために、怒ったブルックと切実に関わりたくないために。
(((((((・・・・・・頑張れ、船長・・・・・・!!)))))))
尊敬はするけれど、助けにはいけません!!
(多分)自業自得だろうから、頑張ってください。と、なかなかに薄情な心で精一杯、声に出さずにヨーキを応援していた。
・・・・・・さて。そんなクルーたちの心境なぞ露とも知らないヨーキが、ブルックに連れてこられたのは己の部屋ー船長室ーだった。
なんで、ここにとヨーキが問う前に。
「・・・・・少し。お部屋も借りますが、いいですか?」
ブルックから、貸してほしいと言われたので。特に断る理由もないために。
「いいぞ。」
先ほどと同じく軽く、軽く返して。あっさり部屋を貸したヨーキに、厳しい表情を崩さないままのブルックが。
「・・・・・・入って、すぐ。鍵も掛けますが、いいですか?」
と、問うてくるので。
「いいぞ。」
またまた、軽く返す。
そうして、入って本当にすぐに鍵を掛け。密室にしたブルックは、硬い固い声で。
「・・・・・・っ、どうぞ!」
ヨーキに、半ば押しつけるようにして。小さな、小さな袋を渡した。
「?なんだ、これ?」
「・・・・・・せ、先月のお返しです。あと・・・・・・・。」
渡された袋を、しげしげと見ているヨーキの顔を引っ掴んで。動かないよう、固定してからブルックは。
ヨーキの唇に。ぶつける、ようにして己の唇を重ねる。
その、突然の行為に目を白黒させているヨーキに。
「・・・・・・・っ、ハッピーホワイトデー!!!!」
自棄になったような高い声で叫んでから、ブルックはヨーキの前から逃げ出した。
そして一人、部屋に残されたヨーキは。さきほどのブルックに渡されたものと行為で、ゆるゆると赤く、甘く緩む顔を押さえ。
「・・・・・・・やられた・・・・・・・。」
心底、しあわせに満ち満ちた声で呟き。その場に、座りこむこととなる。
(大胆な愛のお返し。)
・・・・流石に。バレンタインでの惨劇を反省した模様のブルックからのお返しは、一生に一回あるかないかの甘さ仕様です(え?)
でも、人目がなければ、ブルックはヨーキに(ある程度)デレることができます。人目があれば、ブルックはヨーキに絶対デレません。
・・・・・だけど、それを全然分かっていないのがヨーキ船長だと思います(おい)
あ、それと「ハッピーホワイトデー」って言葉が本当にあるかは知りません。(おい)前のヨーキの台詞と対になるように言わせたかっただけなんで(爆)
ホワイトデーで、藻骨。
躊躇いがちに、恥ずかしそうに。
「ど、どうぞ。」
ブルックが、ゾロに渡したのは少し大きめな袋に入ったクッキーだった。
そして、それを渡されたゾロも。ブルックと同じように躊躇いがちに、恥ずかしそうに。
「あ、ありがとう。」
礼を言って、受け取った。
「「・・・・・・・・・。」」
だけど、そのあとに。なんと続ければいいのか分からないで黙っている二人の間に流れる空気は、なんだか甘ったるくて仕方ない。
もし、ここに第三者がいれば確実に分かる両想い同士の空気に。残念ながら、当事者だけは気付かないまま。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
ひたすら、沈黙と甘さのなか。傍から離れずに、ただ立ちつくしていたが。
意を決したように、ブルックが顔をあげて。蚊の啼くような声で。
「あ・・・・・あ、ぃのおくり、もの、ですから・・・・・・・。」
なんとか、言い切った。
そして、それを告げられたゾロは。
「・・・・・・・・・・・・お、う。」
一言、返すのが精一杯だった。
(控え目な愛のお返し。)
甘甘テイストで、なんだかヨーキ船長に申し訳ない気分になる(爆)
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