バレンタインネタと対になっている、ホワイトデーネタ。
(ヨーキ×ブルック)
「どうぞ、お受け取りください。」
恭しく畏まり、ヨーキがブルックに差し出してきたものは。クッキーが入った、可愛らしい装飾が施された海色をした袋であった。
「なんですか、いきなり?」
そのように、たかがクッキーを丁重に丁寧に贈られる意図が分からず、ブルックが尋ねてみれば。
「先月の、お返しだよ。」
あっさり、そう返された一言に。先月あった出来事を思い出せば、自然、ブルックの声はトゲを含む。
「私、何もしていませんが。」
渡す相手を、間違えてませんか?
つっけんどんに言い返すブルックに、だけど嬉しそうにヨーキは笑いかえして。
「・・・・ありがとな。チョコ、わざわざ、作ってくれて。」
彼に渡していない、捨てたはずの品の礼を告げてくるから。
「・・・・・・・なんのことでしょうか?」
動揺を抑えるために空いた不自然な間のあとに、続いた声はなんとか普通に出せたが。目の前の男相手に、誤魔化せたとは到底思えない。
けれども、なんとか取り繕おうと更にブルックが言う前に。
「美味しかった。」
さらり、と。聞き逃せない一言を、寄越すものだから。
「ち、ちょっと待ってください!・・・・お、美味しかったって、どういう意味ですか?!」
結局、取り繕うことなんかできずに騒ぎ慌てる羽目になる。
「食べた感想。」
「いや、あの、た、食べたって。」
・・・・・・・だって。私は作ったチョコを、捨てた。
しかも誰かにチョコを捨てている姿を見られるなんて絶対イヤだったから、決して気付かれないように細心の注意を払って。
ゴミ箱に、粉々にして分からないようにしてから捨てたのだから。彼の口に、確実に入るはずがない・・・・のだけれど。
いま、ブルックの目の前でふてぶてしく笑う彼は教えてもいない、渡してもいないあの失敗作に何故か気づき。
そして原形を留めないほどにぐちゃぐちゃにしてから捨てたものを、何故か口にしたようなので。
ブルックは、力なく呻く。
(・・・・そういえば、先月の14日のすぐあとにお腹を壊していましたよね。船長。)
もしかしたら、それは貰ったチョコの食べ過ぎではなく、ブルックの作ったチョコを食べたせいなんじゃないだろうか?
そう、思い至れば。
あの時、自業自得だと考えた自身を殴りたい。むしろ、亡くしたい、と。
ぐるぐる、ぐるぐる廻る思考のループに囚われて、青くなるばかりのブルックに対してヨーキはブルックを責める言葉は、一切口にせず。
いつものように、あたたかく陽気に笑いかけて。
「大好きだ、ブルック!」
いつものように、あけすけに好意を示すものだから。もう意地をはることもできず、また彼がブルックからの謝罪なんか望んでないだろうことも明白だから。
「・・・・・・・、わ、わたしも、すき、ですよ。」
代わりに、羞恥を必死で抑えこみ。いつだって、口にするのが恥ずかしいために避けてきた愛の言葉を告げて、彼の行動に頑張って報いてみたら。
その思いがけない一言に。
馬鹿みたいに呆けたヨーキの沈黙に、次第に耐えられなくなったブルックは逃げ出した。
・・・・・・・が、すぐに追い掛けられてしまい。追い付かれたブルックが、ヨーキに掴まって抱きしめられるまで後、数秒。
(結局、最後は甘い幕切れ。)
前回の迂闊行動を巻き返した船長(笑)
どうしたってラブラブする夫婦(爆)
(ゾロ×ブルック)
「・・・・・・・やる。」
ぶっきらぼうにゾロがブルックに差し出してきたものは、マシュマロが入った飾り気のない空色をした袋であった。
「?・・・・・・・あ!ありがとうございます、ゾロさん!!」
最初はゾロからいきなり差しだされた袋が、何のことだか分からないでいたブルックだが。途中で、そのお菓子を送られる『意味』に気づけば、嬉しそうに笑って。
「大切に、食べますね!」
大事そうに空色の袋を、細すぎる両の手で包みこむ。
「・・・・・・・おう。」
そのブルックの答えに安堵したように、笑ったゾロの顔は。見たことも無いほどに、穏やかにしあわせそうで、あたたかに嬉しそうで。
思わず、ブルックは。
「?どうした、ブルック?」
「!な、なんでもないですよ!!・・・・その。う、嬉しいです!嬉しいです!!これ、本当に嬉しいです!!!」
「・・・・・・・っ、そうかよ。」
照れ臭そうに自分から視線を外したゾロに、ホッとしながらも。先ほど彼に『見惚れた』ことは、一生秘密にしようとブルックは決めた。
(だって、恥ずかしすぎるでしょう!?)
じゅ、純情すぎて、ダメージが(書いたの貴方です)
というか私の書く藻骨って、なんか恥ずかしい??(いや、今さらそんなことに気付かれても)
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