(船長+音楽家)
「お化けの格好をして、お菓子を貰う日ですか?」
「おう!だから、ブルック。お前もなんか着ろ!そして、お菓子くれ!」
包帯で身体中をぐるぐる巻いているルフィは、すでに片手に大量の焼き菓子を抱えながらも、もう片方の手でブルックにお菓子の催促をしてくる。
その元気な様子に笑い一つ落として、朝に渡された、決して食べずにもっていろとサンジに厳命されていたお菓子を渡す。
(このお菓子は、こういう意味だったんですねぇ。)
なるほど、なるほどと納得していれば他のクルーも近づいてきてお菓子を催促してくるので、求められるまま渡していく。
白い布を纏って幽霊を真似た者、黒の衣装に身を包みトンガリ帽子を被りホウキをもつ者、カボチャのお化けのお面を被る者など、様々なお化けの格好をしているが決して恐くないお化けたちを微笑ましく見ていると再度、ルフィから仮装を促されたが。
「私、別に仮装なんてしなくても充分ですから。」
なぜなら、私『死んで骨だけ』ですから!ヨホホホホ!
そう笑いとばせば返ってきたのは笑い声ではなく。
「バカだなぁ、ブルック。」
お化けがお化けの仮装しちゃいけないなんて、誰が決めたんだよ。
思いもよらないことを、呆れ声で諭された。
「失礼でしょう!」とナミにツッコミされているルフィは、けれど悪びることはなく「なんで?」と心底不思議そうにしているが。
・・・・・それは、理解していないからだろう。
どこまでも、どこまでもあけすけで正直な言葉は、本質を捉えているがゆえに、ときとして残酷に聞こえることを。
けれど。
「・・・・そうですね。誰も、決めてなんか、いないですよね。」
それは、ときとして目を覚まさせる真実に聞こえることを。
ブルックが『お化け』に等しい存在であることを肯定しながら、それでも。『人間』扱いしているルフィだけが、理解していないのだろう。
「だろう?だから、何か着ろ!」
「・・・・・そうですねぇ。何がいいでしょうかね?」
「んー。・・・・知らん!
好きなの、着たらいいだろう!」
・・・・ああ。本当に。
「ヨホホホ。これは、手厳しい!」
彼は、笑いたくなるほど、正直だ。
ルフィの裏のない発言は、色んな意味で紙一重だと思う。だけど、それを良いほうに持っていけるのがルフィの魅力で、船長たりえる強さだと思います。それが、少しでも表現できていたらいいんですが(汗)
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