(音楽家+船長)





新たな島を見つけ、上陸しようとするとき。

「行くぞ、ブルック!」

必ずと言っていいほど、ルフィはブルックを誘った。
堪えきれない好奇心を素直に映した黒の瞳は、いつもより輝いて。抑えきれない探求心を素直に表す身体は、一刻も早く上陸したいとウズウズしているのに。
なのに、ルフィはブルックの答えを聞くまで船から降りようとせず、待っているが。

・・・・けれど、ブルックは素直に了承できずに立ちつくす。

ルフィには申し訳ないとは思うけれど、自分の姿のせいで島の人から追い出されることが多々あったので、これ以上みんなの迷惑になりたくないので船から降りたくない。
そんなブルックの気持ちなぞ、とうに知っているはずなのに。

「さぁ、行くぞ!」

そうして躊躇いなくルフィはブルックの右手を掴む、けれど。
・・・・・この時だけは。
いつもの強引さを持ち出さないで、ただ自分の答えを待ち、動かない彼を前にすると。

「なぁ、行こう!」

言葉、が上手くまとまらない。
この船のなかで自分は一番の年長者なのだから、大人なのだから、と諭す冷静な自分は断れと告げるのに。

「あ、の。ルフィさん。」

だけど声をだせば、ブルックの右手を掴むルフィの手の力が、強くなるから。

「その、私は、ですね。」

ブルックがいないと駄目なんだと、馬鹿みたいな勘違いをさせるぐらいに、右手を掴む力が強くなるから。

「え、と。」

断る言葉が失われる。
そして今日、も冷静な自分の言葉に従えず。かすか、見逃してしまうほどに小さな肯定の頷きを返せば。
太陽みたいな笑顔がかえされた一瞬後。
攫うように、連れていかれた。







(望まれて、伸ばされる手を振り払うには、私の傷が深すぎた)










原作ではあっさり上陸していますけれどね!(爆)
それは嬉しいことだけど、でもこんな風に当たり前には受け入れてはくれないところもあるよね話です。(長っ)
暗い思考に囚われていても、そこから問答無用で攫われてほしいので(おい)、かわりにルフィにやってもらいました。
なんとなく音楽家←船長くさい展開ですが、まあ気にしないでください(目を逸らす)・・・・・あくまでライクなはずで、ラブではないと思います、よ?(何故、疑問形なんだ)








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