(海賊王)
・・・・オーロ・ジャクソン号の船上にて、ロジャー海賊団のクルーたちが戦闘準備や出航準備に入る少し前に。話は遡る。
薄暗い檻の中。首輪や手錠をかけられ、いまから始まるであろう人身売買の「商品」となる者たちは、一様に絶望していた。・・・・・・・約一名の、例外を除いて。
「わっはっははははっは!!!・・・・・寝ている間に、おもしれえことになっているなあ!!!」
現状にウケて、本気で笑っている『賞金首』に。誰しもが「頭、おかしいんじゃねえか。こいつ。」と思っているなか。
笑いを収めたかと思えば、唐突に寝た男に。
「「「「「「「「おい、現実分かってんのかよ!!!??」」」」」」」」
檻のなかに囚われた者たちも、囚われた者たちを見張る者たちも、ツッコミをいれるが。
全く、気にもせず起きもせず男は寝入りこんでいる。
なので。
「・・・・・こいつ。本当に海賊か・・・・・?」
ここまで警戒心がないのは、おかしくないか!?むしろ、頭おかしい男を勘違いして捕まえたんじゃねえだろうな!!??
人間オークションの主催者が、焦るように確認をする。
「た、確かにこの男は億越えの海賊、ロジャーであります。確かな筋からの情報でしたから、間違いないはずです!」
部下も書類をもって報告するが、いまいち自信が持てずにいる。
それほどに、いま目の前にいる男はあまりにアホな捕まりかたをしたのだ。
・・・・・食事中、突然寝入ったところを捕まえてきたのだから。
ここは海軍本部も近いというのに、あまりの警戒心のなさに。そして、全く海賊らしくない馬鹿さに。・・・・・・・本当に、手配書の男だろうかと。似ているそっくりさんではないかと疑っているが。
「・・・・まあ、いい。違っていたとしても『売り』に出すことに変わりない。」
そうして、ロジャーが目を覚ますことなく暢気に寝ているのを見ながら。そう、締めくくってオークション開催の準備に主催者は取り掛かりはじめた。
・・・・しかし、この後に起こるロジャー船長奪還騒動により。二度と活動できないほどズタボロにされることに、まだこの時点では誰も気付いてはいない。
(・・・・・・どこまでもマイペースな船長に、苦労するのは部下ばかり。)
「D」の名を持つ男は、絶対どこでも寝れると思う(爆)
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