(ブルック視点の10話)
怪我描写があるので、注意!
シャンクスと別れて、ブルックはレイリーが暴れている場所を島の人から聞きだしてから、向かった先で見たものは。瓦礫の山だった。
・・・・いや、よく見れば瓦礫だけではない。瓦礫のなか、所々で埋まっている人間たちがいる。
そして埋まっている彼らは、「海賊、なんて。かいぞく、なんて!」と一様に呻いている姿を見るに。
・・・・まあ、『レイリーが暴れた』という、はっきりした言質で、証拠であろうが。肝心の暴れた本人は、そこには居なかった。
多分、海軍が駆けつけてくるのを嫌って移動したのだろうが。さて、どこに行ったのやらとブルックが首を傾げていると。
「どけどけー!!」
「逃がすなー!!!」
「走れ、走れ!海兵なんぞ、踏みつけて進め!!!!」
「ぎゃあああああああ!!!!!」
えらい賑やかな、聞きなれた声が。海兵と思われる悲鳴とエコーを伴って、ブルックの耳に届いた。
「・・・・元気、な逃走ですねぇ。」
この声を目印にすれば、彼らの元に簡単に辿りつけるだろうが。・・・・何かが、激しく間違っている気がするのはブルックの気のせいだろうか?
逃げる者は追ってくる者を警戒して、こっそり逃げるのが普通だと思うのだけど。
・・・・気にせず騒いで、追っ手に見つかって、踏みつけて進んでいく彼らが間違っている気がするのはブルックの気のせいだろうか??
額を押さえ、常識を捨てきれないでいるブルックは悩む。・・・・が。
悩んでいる間にも、皆は進んでいくために。これ以上、距離を離されたら追いつけなくなるのでブルックは、ひとまず悩むのを止めて走りはじめる。
そうして、走って皆に近づいていくと。彼らに気取らないよう動いている海兵に、ブルックは気づいた。
・・・・場所の把握が簡単にできる彼らを、包囲しようとしているのだろう。
数で優位に立っているのだから、妥当な策であるなと思いながらブルックは海兵に気づかれないようにしながら、彼らと合流せず一定の距離を保って、ついて行った。
それから暫く経った頃。海軍は包囲網を完了させ、彼らを完全に捉え、追い詰めていた。
(流石、ロジャーさん達を何度も追い詰めたガープですね。)
動く集団を、誰一人逃すことなく包囲した手腕に、素直に感嘆していたブルックの耳に。
「センゴクの入れ知恵じゃ!」
「「「「「「あー、なるほど!」」」」」」
届いたやり取りも。センゴクという人物を、いまいちよく分かっていないためにブルックは首を傾げるだけだ。
けれど、不思議がるのは数瞬。
すぐさま囲む海軍の、ガープから離れた位置から音もなくブルックは斬りこんだ。
「ぎゃあああああああ!」
ブルックの奇襲に、優位を確信していたために、海軍の反応が遅い。それに付け込み、ブルックは包囲網を素早く崩していく。
それに呼応するように。
「ブルックが造った道から、逃げるぞ!!」
「奴らの仲間の奇襲に、動じるな!潰せ!!」
レイリーとガープの怒号が響くが。陣形を乱され、仲間が倒されている姿を見て気を取られた分だけ、海兵の反応が遅れた。
そして、その遅れは致命傷になり。優位は崩され、海賊の逃走をまたも許した。
(・・・・ここからなら、オーロ・ジャクソン号まで遠くない。策を弄す距離は、もうないから逃げきれます!)
警戒しつつ敵を斬り倒しながらも、そう確信したブルックの目が捉えたのは。一人の海兵が銃で、仲間の背中を狙い定めている姿。
混戦のために狙われていることに気づいてない仲間に、命を奪われるかもしれない仲間の姿に。重なったのは、かつての。
「っ危ない!」
置いていきたくなくて、置いていかれたくなくて。共にいたくて、いたくて仕方なかった人の姿だったから。
ブルックは衝動のまま駆けて、身を盾にした。と同時に身体を襲ったのは、立っていられないほどの熱さ。
その熱さのあと、撃たれた箇所を襲ってきたのは尖った絶え間ない痛みだったが。己の身に銃弾が当たった事実に、仲間の無事な姿に。・・・・・・馬鹿、みたいにブルックは安堵した。
(また喪う恐怖を、別たれる絶望を。味わいたくない心は、私を軽んじる。)
・・・・・・ええ、と。ご、ごめんなさい(土下座)
なにブルック痛い目にあわせとんじゃわれ。という怒りの言葉、ごもっともなんですが。これ、入れないと赤髪自覚フラグ1と布骨←赤髪フラグ1が立たないので、本当すみません。
痛い目にあわせるのは、多分(多分ってお前)これっきりと思いますので。シャボンディ諸島IF終わったあとの小話で怪我したブルックを過保護する赤髪ss書く予定なんで、本当ごめんなさい。(逃走)
戻る