(花+骨)






ラブーンには「彼らを捜してくる」と伝えて、海へと出航したが。

・・・・・正直に、言おう。

自分は、彼らの生存を考えてもいなかった。



何故なら、彼らが旅立ってからすでに20数年も経っているのだ。



それだけの長い時間、戻ってこないのだから。最早、どこかの海で全滅したのだろうとしか、考えられなかった。
だけど、それはあくまで可能性の考えであり。あくまで、きちんと裏づけされた、確認されたことではないから。

・・・・・・・正直に、言おう。

自分は、彼らの『全滅』を確認するために海へと出た。



何故なら、それがラブーンのためになるからだと思ったからだ。



・・・・・・今でも、ラブーンは彼らが帰ってくることを微塵も疑うことなく待っている。
もう彼らは帰ってはこないのだろう、と思いいたるほどの長い時間が経っているにも関わらず。ラブーンだけは微塵も思いつくことなく、愚直なまでに彼らを待っている。
そうして、待って待って待って待って待って。そのまま息絶える瞬間まで、ただ待っているだろうことが簡単に想像でき。
そして、その時でさえも。彼らがまだ戻ってこないのに、待ち続けることができないことに絶望して死んでいく未来が、あけすけに見えるラブーンが。

・・・・・どうしようもなく、かなしかった。

だから。だからこそ、彼らを捜しに海に出た。
彼らの死を探して確認して、そうして帰ったときに。


『・・・・・彼らは、お前に会うために最後まで旅をした。けれど、それは叶うことなく、全滅してしまった。』


そう、ラブーンに。
ただ、ただ待って終わる。そんな最後を迎えさせたくなくて。
区切りのこない明日を、これで過ごすことがなくなるなら。
ラブーンが傷つくことになったとしても、もうこれで約束に縛られないですむのなら。
少しでも彼ら以外のことにも目をむけ、いまを生きていけるようになれるのなら。
憎まれようと、嫌われようとも。
本当のことを、伝えようと思った。



なのに。



「・・・・・・お久しぶり、です。クロッカスさん。あの、私、こんな姿になってはいますが、その。
 ・・・・・・生きて、います。」

いま、私の目の前に。ラブーンの仲間が、いた。
姿も、他の仲間も、何もかも失って、それでも1人。生きて、いたのだ!


「・・・・・・ああ!ああ、久しぶりだ、ブルック・・・・・!!」


涙を零しながら、私は彼を迎えにきたけれど。

・・・・・正直に、言おう。
この再会のときに、感じたことは。彼が生きていたことへの喜びでも、彼が変わり果てた姿に成り果てたことへの嘆きでもなく。





ラブーンとの『約束』が、守られることへの歓喜だった。













(・・・・・・所詮、『ろくでなし』なのだ。海賊という人種は。)


















今回の話は、スミレ的「クロッカスさん出船考察」です。
だって、何十年も戻ってこないのならまず生存を確認するより死亡を確認するかな、と。(身も蓋もない)
そして、そのことをきちんと確認してラブーンに教えようと思ったからこそ、船に乗ったのじゃあないかな、と。
あと、最後。これはクロッカスさんが骨をないがしろにしているわけではないですから!
ただ、数ヶ月の付き合いと数十年の付き合いでは、やはり感情の傾き方が違うわけでして!
骨を嫌っているわけでは、決してないことを理解していただけると助かります(土下座)











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