(骨+赤髪)
・・・・現在、レイリーの命により上陸している空島は。見たこともない、不可思議さに満ち溢れていたが。
隣を歩いているブルックに胸を騒がせているシャンクスは、それらに目を向ける余裕がない。
ブルックの一挙一動に、過剰なまでに反応し。わたわたしすぎているシャンクスは、控えめに言っても挙動不審なので。
「・・・あの。どうか、したんですか?」
と、ブルックが気遣えば。更に挙動不審になり、どうしようもない状態に陥っているにも関わらず。
「だ、大丈夫だ!!」
シャンクスは頑なに、そう言い張り続けていた。
けれど、どう贔屓めに見ても。大丈夫に見えないシャンクスを、ブルックが心配して見守っているなか。
「ぎゃ!!」
・・・・何もないところで、シャンクスは盛大にこけた。
それを見て、普段ではありえないシャンクスの不調さに。探索を続けるのは危険と判断して、船に戻ろうと告げたブルックに。
「大丈夫だ!!」
またも、シャンクスは。そう、言い張った。
けれど、未知の地で無理をする愚を犯す気のないブルックは、シャンクスの言い分を却下するが。頑なに、大丈夫だとシャンクスは言い続ける。
それに困った顔をしながらブルックも、意見を変えることはなく。暫くの間、平行線であった意見であったが。
「・・・・分かった。」
所詮、シャンクスがブルックに勝てるはずもなく。ブルックの意見が通ることとなった。
不貞腐れた、納得していない表情をしながらも素直にブルックの意見に従うシャンクスを微笑ましく見ていたブルックだったが。シャンクスの不調さが、心配なため。
「シャンクスさん、よかったら手、繋ぎませんか?」
また転ばないように、そして何かあったときにシャンクスをすぐ助けられるように。そう提案した瞬間、シャンクスは派手に転んだ。
「「・・・・。」」
言ったそばからのシャンクスの転倒に。
(本当、今日はどうしたんでしょうね。シャンクスさん。)
本当に、本気で心配になり始めたブルックの前で、未だ転んだままのシャンクスは。煩すぎる自身の心臓と、固くなっている身体に戸惑っていた。
たかが、手を繋ごうと言われただけで激しく乱れた鼓動が不思議で。たかが、手を繋ぐことを意識した途端に上手く動かなくなった身体が不思議で仕方ないシャンクスに。
「大丈夫ですか?」
ブルックは手を貸して、起き上がらせてくれた。
そのとき、屈んで起き上がらせるため触れてきたブルックに。あまりに近い距離で見つめることになった、外出用の仮面で隠されたブルックの顔に。
(・・・・キスしてえなあ。)
心の底から、そう。シャンクスは、想った。
けれどシャンクスは、その想ったことに「おや?」と首を傾げる。
仲間に対して、そんな感情を抱くのは完全におかしい。そんな感情を抱くのは、仲間なんかじゃなくて・・・・・・・・。
(・・・・・いや、いやいやちょっと待て、俺!)
頭を振って、いま浮かんだ答えを振り払おうとするシャンクスであったが。その答え以外に、先ほど浮かんだ疑問に当てはまる答えはなかった。
(・・・・・・おい、おいおいおい。確かにブルックはイイ奴で、優しい奴で、守りたい奴で、キスしたい奴で・・・・って最後、違うだろ、おい!!)
(シャンクス本人にとっては)いきなりな、感情に。かなり、混乱していると。
「本当に、大丈夫ですか?」
心配を滲ませる声で、不安そうにシャンクスの顔を覗いてくるブルックに。
(・・・・・・・・・・やっぱり。キスしてえなあ。)
先ほどよりも強く、そう想ってしまったので。もはやシャンクスに、答えの否定は出来なかった。
そう、仲間なんかじゃなくて。
(・・・・・俺は、ブルックのことを・・・・・。)
そう、認めざるしかなくなると同時。この想いを黙っていられなくなったシャンクスは、己の心配をしているブルックを抱き寄せて。
「・・・・・俺は、ブルックが・・・・!!」
真っ赤になった顔で、愛の告白を。躊躇うことなく、愛しいヒトに叫ぼうとした瞬間。
「お前たち、何者だ!」
邪魔するかのように、攻撃的な声が届いた。
それに反応してシャンクスから身を離し、何があったも対応できるように臨戦態勢に入ったブルックだったが。
「・・・・・・・けんな・・・・。」
俯いて、小さな声で何事かを呟いて。敵意を持つ者が前にいるというのに全くの無防備でいるシャンクスに驚きつつも、慌てて注意の声をかけようとしたら。
「ふざけんなよ、お前!
人が折角、ブルックに告白しようとしていた時に最悪のタイミングで声かけやがって!!」
理解、できないことをシャンクスに叫ばれたので。声をかけようと開けた口が塞がらないまま、ブルックは固まった。
いや、固まったのはブルックだけではなく。そんなことを叫ばれた男も同様であるらしく。
「・・・・・・・。」
言葉も無く、固まっている。
けれど、場にいる者たちの固まった空気を気にすることなく苛立たしげに頭を掻いて、唸っているシャンクスに。
「「・・・・・・。」」
どうしようか?
思わず、そんなアイコンタクトを取ってしまうブルックと男であった。
(・・・・・・残念ながら、一回めの告白は失敗しました。)
告白に、失敗はつきものですよね!←ひでえ想いこみ
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