(海賊王船団+骨)
「・・・・君は、ヨミヨミの実の能力者なのか?」
「はい、そうです。」
骨を仲間にするのを諦めない船長を隔離して、ブルックから事情を聞くのは副船長のレイリー。
彼の背後からは、「てめえら、俺からおもしれえことを取り上げる気か?!」と騒ぐ船長の声が響くが、皆から黙殺されている。
そして、そんな空気に逆らうことは本能的にやばいと察したブルックも、あえて気にしないように話を続ける。
「数十年前に仲間とともに乗りこんだこの海域にて、運悪く、恐ろしく強い同業者と出くわした私たち一味は、戦闘に負けて全滅しました。
・・・・、そのときに私も一度死んだのですが。私に宿るヨミヨミの実の力で、死した後、一度だけ『ヨミがえる』ことができました。
そこですぐに自分の体に戻れたら良かったのですが、この深い霧のために、魂の姿で迷うこと一年!
ようやく自分の体を発見したときには、すでに体は『白骨化』していたのです!!」
なので、この有様です。ヨホホホホ!
骨、だけになってしまった事情を明るく打ち明けるブルックに。
「・・・・もう一度、死にたい、とは思わなかったのか?
そんな姿になってまで、本当に『生きたい』と思えるものなのか?」
異形に成り果てた、現実を。
助けなぞ微塵も期待できない海域にて、ただ独りで過ごす時間を。
受け止め、生きることは苦痛であり絶望であろう。
だからこそ、その『生』から逃れたい、と。死を望み、終わりたい、と考えなかったのかというレイリーの質問に。
「・・・・まだ、私には待っている仲間がいます。
私達とともにいきたいと願った意思を、曲げさせてまで待たしている仲間が。
・・・・その彼のもとに戻ることもせず、自分が楽になることを望む権利なぞ、私にあるはずがない。
彼と会う約束を、他の仲間が託した想いを、叶えるまで。
私が、私の命を終わらせることを許さない。
・・・・・そして、必ず。必ず、私は誓いを果たします。」
淡々、と。けれど硬い固い男の覚悟が込められている、その言の葉に。
嘘偽りなぞ、微塵もない。
何故なら、いま。彼は彼の言った言葉を違えることなく『生きている』のだから。
「・・・・、見事な男だ。」
思わず、ぽつり、と。呟いたレイリーの言葉にクルー一同、無言で頷く。
・・・・仲間たちを亡くしても、自分の身体をほとんど無くしても、それでも。それらに呑まれることなく、『生きる』という選択を放棄せず、いま、ここに立つ彼を。
クロッカスから教えてもらった、数十年前に交わした仲間との約束を守り続けて、いま、ここにいる彼を。
この場にいる者全て、心から。いま、ここに在る『彼』を、認めた。
そうなれば、はじめは畏怖や警戒が多分に含まれたクルーたちの視線が。今では、感嘆や尊敬の視線に変わりはじめ。そうして、ブルックに対する悪感情が完全に払拭されると。
「よく、耐えてきた!」
「すげえな!お前!!」
ブルックの周りに集まり、クルーたちは彼をこづきはじめた。
「!!!??」
クルーたちの突然の行為に、目を白黒させて戸惑い、ブルックは困惑していたが。
彼らには好意的感情しかなく、なかには泣きながら「よく頑張った!」とバシバシ叩くクルーもいて。
・・・・次第に、その声たちのあたたかさに。感情が、あついものが、堪えきれなくなり。
ごちゃごちゃな、整理なんて到底できない込み上げる『何か』に突き動かされて。
その声たちに、きちんとした音にならない声で。
呻くように、笑うように、嘆くように、叫ぶように。
ひたすらに、ひたむきに、そして、懸命に。
『・・・・っありがとう!』、と。
泣きながら、ブルックは、こたえた。
・・・・原作では、モリア一味と交戦中だったしその後もくま出てきたりゾロが死にそうなほどの怪我を負ってたりがあったりしたので、色々大変だったから仕方ないとは思うんですけど。
でも、誰かにブルックに「よく頑張った」って言って欲しかった。「よく耐えてきた」って褒めてあげてほしかったです。←これは決して原作に文句を言っているわけではないです。そこだけは、誤解されないようお願いいたします。
なので、捏造で補完(爆)クルーたちの言葉はスミレが言って欲しかったものたちです。
・・・・なんかしんみりした話になってしまいましたが、次回はそれがぶち壊しです。(おい)話に置いていかれた、少し忘れ去られている船長が出張りますから(笑)
でも、今度は誰も骨を仲間にすることを反対しないから!頑張って、船長!!
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