(花+骨)





夜よりも尚暗き霧に包まれた海域にて、響き渡る透明な歌声に。

「・・・・・ブルック・・・・・!?」

叫んだのは、船医であるクロッカス。
そして、すぐに舵のところに行き。

「船を!彼らの船を、捜してくれ!」

進路の変更を、願う。
・・・・・彼らとは数ヶ月しか共にいなかったが、それでも。その短い間に何十回も開いた宴にて何百回も聞いた舟唄は、今でも決して。決して、忘れてなんかいない。
だから、間違いなく。

「いま、ここに!
 捜していた海賊団がいるんだ!!」

頼む!見つけてくれ!!
叫ぶように、縋るように。頼みこむその姿に。
船の仲間たちは、『応!』、と。強く、強く答える。
クロッカスは彼らの船医でもあるが、同時に。ロジャー船長の命の恩人でもある。
その彼の頼みを、聞き入れない訳がない。
・・・・・そうして歌声だけを頼りに辿りついた先には。

死した船。

そこには最早、『命』を見つけることができなかった。
けれど、その『生』を感じれない船の中から絶えることなく。歌が。
終わってなんかいない、と。訴えるように、伝えるように、唄が。
そこに、確かに、あった。

「っ確認、させてくれ!」

その言葉に応じて死した船に接近してくれたと同時に、クロッカスは船から飛び移る。
周りからの「1人では危険だ!」「無茶をするな!」という警告も心配も、今の彼の行動を止めることはできないまま。
船を昇りきり、1人、甲板に降り立つ。
そうして周りを見渡せば。奥、に。



1人。立つ姿が、見えた。



「・・・・・ブルック・・・・。」

高すぎる身長。連れてきた子クジラと同じ頭だと囃し立てられた、特徴的なアフロ。そして先程、聞いた歌声で『彼』だと分かる。
だけど。

「・・・・・何、があったんだ。お前、に。」

それ、以外は。何も無かった。
皮膚も目玉も舌も内臓も脳も筋肉も爪も脂肪も何もかも無く。
ただ。






「・・・・・・クロッカス、さん・・・・・・・ですか?」






呆然、と。立ちつくす、骨、だけがそこにあった。














・・・・やってしまった感が非常にあります(爆)こんなことばかり思いつく可哀想な頭の持ち主ですみません。(本当にな!)
でも、楽しいです(反省しろ)
とりあえず、隠しで始めてみて反応見つつ、更新していきます。
少しでも、楽しんで頂けたら幸いです。






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