(ヨーキ+ブルック+ルンバー団)
目が覚めた瞬間、視界に飛び込んできたのは見慣れた船医室の天井だった。
何故、自分はここにいるのかと疑問を抱きつつ身体を起こし、部屋を見渡したヨーキの隣のベットに。頭部に包帯を巻いたブルックが横になっている姿を見て、ヨーキは言葉を失った。
そして、そんなヨーキに気付いたブルックは、あっさり、と。
「転んでできた傷ですよ。」
言の葉を紡いだ。
その音に。彼が怪我人であることを忘れて掴みかかったヨーキだけど、かろうじてなんとか自制して。
「・・・・それは、俺を助けようとしてできた傷だろう?」
嘘をつくな、と。怒りを込めて、ブルックを見るが。
「いいえ、転んでできた傷です。
転んだときに、運悪くそこに大きな尖った石があったものですから、こんな深い傷になったんですよ。
・・・・嘘、だと貴方はお思いでしょうが。私が怪我を負った瞬間を貴方は見ていないのだから、私の話が嘘だと貴方は断じれないでしょう?」
違いますか?
丁寧に、にっこり、と。反論、できるものならどうぞ。と、雄弁に語る表情に。
「・・・・・・・てめぇ!」
ヨーキはついに我慢できず、ブルックの襟を掴みあげ。
「それは、俺を助けようとしてできた傷だろうが!」
呻くように、叫ぶように。まくしたてるけれど。
「何のことですか?先程から言ってるでしょう。これは、転んで怪我したものです。」
のらりくらり、と言い切り、認めないものだから。船医室の空気は、重く痛いものになっていく。
「・・・・あくまで。あくまでも、認めないって言うんだな?」
険しい表情で、怒りの声で告げるヨーキに。
「認める必要が、どこにあるんですか?
大体、貴方は一人で多数の賞金稼ぎとやりあって不覚にも後ろからどつかれて気を失ったところを、貴方を探していたミズ―タ兄弟が見つけて助けたのだと私は聞いています。
なのに、何故、そこで私が出てくるんですか?」
訳が分からない、と。言い張るブルックに。
「・・・・・・俺が気を失う寸前、俺を呼んだ声はお前だった。」
聞き違うものかよ。
憮然、と。キッパリ言い切ったヨーキに、一瞬、強ばるブルックだけれど。
「・・・・・・・混濁した意識の妄想でしょう。けれど、そんな時まで私を思いだしてくださるなんて、光栄ですよ。」
優美にお辞儀して、ヨーキの怒りを煽る言葉を発したので。強張りを、見咎められることはなかった。
「妄想なんかじゃ、ねえ!!」
唸るように、噛み付くヨーキに。
「なら、ミズ―タ兄弟に確認してきなさい。『その場に私はいなかった』と、証言してくれますよ。」
うんざりした表情を浮かべ。ほら、早く行きなさいと邪険に扱うブルックを。
「言ったな!?あいつらに確認して、もし違っていたら容赦なくぶん殴ってやるから、覚えてろよ!!」
腹立たしそうに睨み付け、確認にいくため飛び出していったヨーキを見送って、いなくなったことを確信してからブルックは。
「・・・・・口裏、合わせているから無駄だと思いますけどね。」
悪いことを、白状する。
「・・・・・でも、今回は完全に貴方が悪いので自業自得です。」
賞金首になったため様々な相手から狙われているというのに、私たちを置いて一人で行き、挙句殺られそうになったのだ。
なんとかヨーキに追いついたブルックが助けに入らなければ今頃、彼は。
「・・・・・。」
だから、許さない。私たちを置いて一人で逝こうとした彼を。
だから。
「本当のことを、教えてあげません。」
船長を助けるために負った傷のことを。そして死んでもおかしくない負傷状態の私が、船まで気を失った貴方を運んできたことを。そして、その傷を負った経緯を皆に伝えたことで負わせた絶望を。
「絶対に、教えてあげません。」
そうして、思い知ればいい。
貴方の行き先を『教えて貰えなかった』私たちの気持ちを、知るまで。
「許して、あげませんから。」
泣き出しそうに震える声で、崩れそうになる身体で、折れそうな心で。
「許して、あげませんから!」
怒る気持ちを、想い知ればいい。
(そして貴方が『生きて』いるからできる、私たちの意地悪に気づいて。)
ジスト様、お待たせいたしました!
「ブルックの額の傷について」リクでしたが、やはりあの深手は船長を庇って以外はないと思ったまではいいのですが、怪我を負ったブルックのことを船長が怒るパターンはありきたりかな?と思ったのが運のつき(おい)
逆に船長が怒り故の愛のいじめ(?)を受けるという、相も変わらず斜めな方向にいった思考で書き上げたものになってしまい、ごめんなさい(土下座)
・・・・・このような作ですが、リクをくださったジスト様のみ、この話をお持ち帰り可です。(返品も可です)
丁寧なリクを頂いたのに、このような品で申し訳ありません。
そして、リクエスト、ありがとうございました!
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