(剣士→音楽家)






こっそりひっそり、と。長く細すぎる手足を可能な限り縮こませてから、ブルックはサニー号の倉庫の隅っこにしゃがみこんで隠れていた。

(・・・・見つかりませんように。見つかりませんように!)

祈るように、願うように。ブルックは、ひたすらに気配を消して『ある人物』に見つからないよう隠れていたのだが。

「!!」

あっさり、と。見つけられてしまい、隠れていた隅っこからブルックは引きずりだされた。
そして捕えるように、繋ぐように。ブルックを逃がさないとばかりに強く強く抱きしめてから、ゾロは。

「・・・・好きだ、好きだ好きだ、お前が好きなんだ、お前だけが好きなんだ・・・・。」

細すぎる肩口に顔を埋め、ブルックに乞うように恋う言葉を繰り返す。

「・・・・あ、の!あのですね、ゾロさん!!私、は、です、ね?!」

抱きしめてくる腕の熱に、焦がれ慕う愛の言葉の熱に、どうしようもなくあてられたブルックは。上手く声を出せず、あわあわしながら手足を意味なく動かして、動揺を露にする。
しかし、そんな動揺しているブルックにさらに追い討ちをかけるかのように、また。

「・・・・好きだ、好きだ好きだ、お前が好きなんだ、お前だけが好きなんだ・・・・。」

告げられた愛の言葉に。

「・・・・あうううう。」

ブルックは、完全に打ちのめされてしまう。
面と向かっての告白はやたら恥ずかしいし、大事に大切に触れて囲う腕のあたたかさもいたたまれないくらいに恥ずかしいから。
その恥ずかしさに耐えられないあまり、ブルックはいつだってゾロから逃げて隠れていたいのにゾロをそれを許さない。そして、隠れているブルックを見つけては、愛の告白を繰り返し。

「・・・・好き、だから。俺のものになってくれ。」

ブルックに返事を求める。
・・・・だけど、ブルックは。

「はうううううううう。」

呻くだけで、答えられない。

 

・・・・・・そもそもブルックにとってゾロの言葉は、想いは想定外なのだ。

 

自分だって恐がることがある、骨だけの姿を愛されるなんて考えたこともないものだから。いつだって告白される度に信じられなくて、でも真摯なゾロに信じざるをえなくなると途端に恥ずかしくなって。

・・・・・・その恥ずかしさに耐えられないあまり、ブルックはいつも逃げて隠れてしまう。

そして、そんなブルックの逃げて隠れる姿に。答えてもらえないことに嫌われていると判断するのが普通だろうが、けれどいつだってブルックは抱きしめるゾロの腕を本気で嫌がらないし、告白も決して嫌がりはしないから。
一体、どう判断していいのか分からないゾロは、だからこそ諦めきれずに何度も何度も告げて返事を求める。
だけど、ゾロを嫌いじゃないからこそ言われる度に酷い羞恥に襲われるブルックは。何度も何度も返事を求められても、だからこそ上手く言葉がでないために。
本人たちにとっては、通じ合えない一方通行なやり取りが終わることなく続いていく。










(・・・・だけど、端からみたらブルックが答えさえすれば成立する愛に。発展しない、行き止まりな関係だと当人たちだけが、思っている恋である。)












片恋お題だけど、どうしても私が書くと両片思いになる不可思議さ(待て)
好きだからこそ、ぐるぐるしてイタチごっこみたいになってしまうもどかしさが好き。(それもどうかと)
でも、誰にも賛同えられたことないけどね!(あ、やっぱり)皆、ラブラブが好きっていう。私も好きだよ嫌いじゃないよ、でも片恋が好き(まだ言うか)








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