(布骨)







久しぶりの陸にあがり、宿をとって休んでいたブルックの元に。派手な、煌びやかな花々を無造作に持ってきた男が来たのを見て。

「・・・・・それ、を。また見る羽目になるとは・・・・。」

ブルックは、非情に淡々とした声と溜め息を零す。
それを見て、首を傾げるヨーキに。ブルックは、顔を歪めながら。

「・・・・・その花は、きちんと預かっておきますから。さっさと、この部屋から出て行ってもらえますか?」

吐き捨てるように、告げる。

「・・・・・は?何言ってんだ、ブルック。こりゃあ・・・・。」

けれどブルックに、何を言われているのか分からず。戸惑うヨーキに、焦れたように。

「夜には、取りにくるんでしょう?それまでに綺麗に包装して準備しておきますから、そこに置いておいてください。」

ブルックは苛ただしげに、テーブルを指さす。
けれども、一向に動かないヨーキを見て。少しだけ、傷ついたように微か瞳を揺らしてから。



「・・・・大丈夫ですよ。今日の夜に会う女性のための花を、台無しになんかしませんから。」



心配する必要はない、と告げる言葉を耳にして。ようやくヨーキはブルックの勘違いに気付き。

「違ーよ!今回は、お前に!!」

声を荒げるが。

「はいはいはい。さっさと出て、出て。」

全く、ブルックは聞く耳を持たず。ヨーキを部屋から、追い出した。

「〜〜〜〜〜〜〜!!!
 ブルック、
話を聞けやこらあああああ!!!!」

完全に閉められた扉の前で。大声でヨーキは呼びかけるが。

「・・・・・・・・・。」

ブルックからの返事は、一切なかった。

(〜〜〜〜〜〜ああ、くそ!
 そりゃ、確かに夜の女のところに行く前に、贈りものの花をブルックに包んでもらってきたさ!今までは!!
 でも、今回は違って!ブルックに贈るために持ってきたってのに!!!)

苛ただしげに、ヨーキは己の髪を掻きながら。

(てか、今の俺の恋人はブルックだってのに。俺のこの行動を夜の女のためだと、浮気だと勘違いしやがって!!)

苛ただしげに、舌打ちするヨーキの頭に横切ったのは。先ほど、動かない己を傷ついたように見ていたブルックで。

(・・・・・・くそ。
 勘違いさせるような、薄い情を向けた覚えはねーってのに!)

勘違いしたブルックも、勘違いさせた己にも怒りを抱きながらヨーキは。



「・・・・・以後、勘違いなんか出来ねーように想い知ってもらおうか。ブルック。」



非情に、暗い冥い笑顔を浮かべて。ブルックが閉ざした部屋の扉を、ヨーキは力一杯蹴破った。










(このあと。盛大に起こる喧嘩と仲直りの原因となった花は、無事、ヨーキの贈りたい人の腕の中に収まることになる。)











私が書くとケンカップルは必ず布骨が担当です(爆)
でも、根本的にはラブラブ・・・・・なはず・・・・・・です(目を反らす)









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