(鯨+骨←藻)







それは、酒の席でのことだった。
新しく仲間に入ったブルックが、ゾロに「大剣豪を目指す理由を聞いてもいいですか?」と尋ねてきたので、別段隠すことでもないから。

「親友との、約束だ。」

と、ゾロが答えれば。



「・・・・なるほど。ゾロさんは、親友が大好きなんですねぇ。」



ふにゃり、と。酒が入っているせいか、普段以上に柔らかい声で表情でブルックが、ゾロにとって思いがけない言葉を紡ぐ。

「・・・・は?」
「だって。こんなに努力して、身体を、命を張って、叶えようとしているんですもの。
 きっと、その人が大事で、大切で。交わした約束を違えるなんて思いつかないほど、大好きだから。
 ・・・・諦めないで、いるんですよねぇ。」

ブルックの弾む声には多分に愛しさと、見落としそうなほどの微かな、けれど確かな存在をもった闇が込められていて。ゾロは、なんと答えていいのか分からず沈黙する。



・・・・今のブルックの発言は、ゾロがくいなと交わした約束と。自身がラブーンと交わした約束を重ねて、落とした本音だ。



その本音に、添えられた感情に。50年、独りでいたために生まれた様々な感情に、ゾロは、なんと答えていいのか判らない。
だけど、ブルックは。そんなゾロの沈黙に頓着せず。



「・・・・私も、ラブーンが大事で、大切で。大好きです!」



楽しそうに、いつもの見慣れた陽気さで笑うから。さきほどの感情を忘れたかのように、嬉しそうに笑っているから。

「・・・・そうかよ。」

抱えているものがあっても、笑顔になれる「何か」があるなら大丈夫だよなと安堵しながら。ようやくゾロは、言葉を返せたけれど。
・・・・でも、いつか。ブルックの抱えている感情に答えを、かえしたいと。そして、ブルックが笑顔になれる「何か」がこれから先、増えていけばいいと。
ゾロは、酔った頭ではあったが確かに想った。









(だって、笑う姿で隠れてしまったけれど。たくさんの感情を抱えすぎて、途方に暮れている君が見えたんだ。)












藻骨、恋フラグ1(爆)
ブルックを意識することが、ここから始まっていって。最終的にゾロ自身が、ブルックが笑顔になれる元になればいいv










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