(鷹の目×幽姫+ゾロ)
「せっかく可愛くしてやったのに、何が不満だ!」
「女じゃあるまいし、可愛くされて喜ぶ男がいるか?!馬鹿!!」
ぎゃあぎゃあぎゃあ、と。かしましい一角に、ミホークが目をやれば。
「クマシーv」
「・・・・存在していて、すみません・・・・!!」
ネガティブ・ホロウを食らい、心を折られて蹲るクマのぬいぐるみを着ているゾロに。楽しそう、というかしあわせそうに蹲るゾロにくっついているペローナという、カオス極まりない光景があった。
「・・・・。」
普通の神経を持つ者なら、そっと目を反らし見なかったことにする代物だが。ミホークは反らすことなく、笑ってばかりのペローナを見。
「・・・・・・・・。」
眉をしかめ、誰の目から見ても不快だと分かる空気を零す。
しかしミホーク本人は、自身が不快になっているということは理解しても。何を不快に思っているのかまで、理解できなかった。
珍しく自己把握が出来ない己に、まだまだ未熟で鍛えが足りないと反省しているなか。
「クマシー、クマシーv」
「・・・・クマでなくて、すみません・・・・!」
未だカオスな光景は続いている。
いっこうに終わりが見えない、二人のやりとりに。不快以外に、なんだかモヤモヤするものがミホークのうちに湧くが、やはりこれも何故モヤモヤとするのか理解できなかった。
何が原因かを探るべく、思考しているミホークに。ようやく、気づいたペローナとゾロは。
「「げっ!!」」
声を揃えて、呻いた。
ゾロからしてみれば情けない姿を見られたのが嫌で、ペローナからしてみれば可愛いものが足りない生活環境に耐えられなくなり、思わずクマシーの格好をさせたゾロにくっついている姿を好きな男に見られたのが嫌で、こういう反応になったのだが。
「・・・・仲のいいことだな・・・・。」
同じタイミングで、同じ言葉で、同じ表情で。しかも、じゃれあった(?)まま返してくる姿は、先ほどのやりとりを見なければ仲良く見えなくもないが。
ばっちりと強制的にぬいぐるみを着せ、心を完膚なきまでにへし折り黙らせるという一方的なやりとりを見ていれば、仲良くは決して見えない。
だから、普段のミホークならば当然のようにそう判断するのだが。しかし今のミホークには、そう判断できない。
なので普段より固い声で、態度で告げるミホークに。
「「・・・・。」」
ゾロとペローナは、ぽかんとする。
ミホークに自覚はないかもしれないが、端から見れば気に食わないと嫉妬しているのが丸分かりである。
暫くしてから、嘘だろと頭を抱えるゾロを無視して。感極まっているペローナは、泣き笑いの表情でミホークに近づき。
「〜〜〜〜っ!」
ぎゅうぎゅう、と。たくましい右手をとって、恋人繋ぎをして傍に侍る。
普段なら剣を握る手を拘束されることを嫌い、即座に引き剥がすミホークだが。
「・・・・あれは、もういいのか?」
剥がさず、ペローナの好きにさせ。クマシーの格好をしたゾロを指して、尋ねる。
けれど尋ねる固い声に、離れていかないよう好きにさせてくれる態度に、嫉妬してくれたことに満足しきっているぺローナは。
「もう、いい!!」
必要ないと、きっぱり告げる。
・・・・勝手にぬいぐるみを着せ、勝手に心をへし折り、最後には勝手に放置しくさるぺローナに。少なからずゾロは殺意を覚えるが。
「しあわせー。」
惚けきった声で、顔で。ベタベタくっついているぺローナと、それを邪険にせずにいるミホークを見れば。
(・・・・・ここで邪魔するのは、野暮だよな。)
普段から邪険というか、無関心の如く放置されている彼女の現状を間近で知っている身としては。そっとしておいてやるのが、優しさだと思う。
それに、だ。
(・・・・・気に食わないって、嫉妬までした気持ちの根っこに。どうも気づいてないっぽいよな、コイツ。)
現にゾロから離れ、傍にきたぺローナを不可解に眺めているミホークの視線からは。どうして引き剥がさずに好きにさせているのか、不快なモヤモヤした感情が消えているのか自分でも疑問だと言わんばかりである。
だから、今ここでゾロが何かしなくても。あとでミホークの心情を知れば、ぺローナは凹むことだろう。
だって嫉妬したということは、自分に好意をもっているのだと言ったも同然なのに。それを自覚・・・というか理解できていないミホークは、おそらく冷淡な対応をぺローナに続けることは目に見えている。
やっと両想いだと喜んだぶんだけ、落ち込みは酷いだろう。
・・・・・けれど。
(・・・・少しでも、前進したってことには。意味があるんじゃねえかな・・・・。)
まったくもって実ることがない恋だと、ゾロもぺローナも思っていた。
だけど、そうではないと。本人の理解こそまだだが、実証されたのだ。
それは、とても。とても、いいことだと思う。
だからゾロは、ムカつく気持ちを抑え。あとで、ミホークの鈍さに癇癪を起こすだろう彼女のしあわせな時間を妨害しなかった。
(進んだ恋の一歩に、祝福を!)
お待たせしました、雪流様!!
リクss書きあがりましたので、どうぞお受け取りくださいv
もやもや=嫉妬と解釈し、片恋ねvvとノリノリで書かせていただきました(笑)
ゾロが可哀そうな・・・ごふごふ・・・・大変な目にあっていますが。そこは、大目にみてくださると助かります(おい)
この度は企画参加、ありがとうございました!(お辞儀)
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