(布骨)






ヨーキに対して、とある感情を自覚した瞬間。なかったことにしようと、一秒未満でブルックは即決した。
しかし、そんなブルックの決意を嘲笑うかのように。

「・・・・ぐー・・・・。」

ブルックの固い膝を枕にして、ヨーキは無防備に寝込けている。
安心しきった顔で、安全だと言わんばかりに気を抜いている身体が嬉しいと想う自身に。結局は、なかったことに出来ずにいる感情にブルックは表情を曇らせる。



(・・・・好き、なんて。自覚しなかったら良かったのに。)



そうすれば、ただの仲間として馬鹿みたいに笑って楽しく過ごしていけたのに。
・・・・だけど、いくら考えても願っても。恋慕を知らないでいた時間には戻れない、戻らない。
だったら、腹を決めて。まるで特別みたいに安心しきって警戒を抱かず、膝で寝ている男に抱く感情をなくせなくても、なかったみたいに振る舞って。

「・・・・早く、ラブーンに会いに行きましょうね。」

約束を守るための航路を進み、前だけを向いていこう。
そう、覚悟を新たにして。意識がない、無防備な人に触れたがる恋慕を理性でねじ伏せながら。

「目が痛いくらいに、いい天気ですねぇ。」

仲間としてしか見てくれない相手に抱いた報われない想いに、目頭が訴える痛みを誤魔化して。ブルックは、ヨーキから目を反らした。
・・・・ブルックが目を反らした瞬間、寝ていたはずのヨーキが片目を開けて不貞腐れた顔をしたのに気づかないまま。

「ああ、街に出かけたいです。」

ヨーキが膝のうえにいるから、せっかく島についたのに船に残るしかなくなった現状に。ブルックは気分転換すら出来ないと、ため息をつく。
・・・・ヨーキへの想いを自覚してから、さりげなく傍にいる時間を減らしたり。寄港したら、今まで寄りつきもしなかった色街に行こうとするのを不服としたヨーキが、半強制的にブルックの膝を占拠したことに全然気づいていないブルックは。

「泣きたいぐらい、いい天気ですねぇ。」

天気のせいにして泣こうかと思案するばかりで、自分以外のところに行かせまいと膝を独占している男の感情に、行動に。普段の聡さを発揮出来ず、ため息をつくばかりであった。
・・・・まあ、恋をしたせいか発揮できない聡さがあれば。今だけでなく、ヨーキがその前から取っていた行動に、感情に気づくことができ、報われないと思うことは絶対になかったはずなのだが。
残念なことに、その事実にブルックは気づいていない。
だけど、ため息ばかりのブルックに。いい加減、我慢出来なくなって行動する男のせいで図らずとも両想いに持ち込まれる未来がくるとは、報われないと信じ切っている今のブルックには予想もつかない恋の結末であった。








(恋する貴方たちに、幸あれ!)






アンケートで2位をとった布骨で、両片思いです。←完全に書き手が趣味に走っています
珍しく弱気ブルックでしたが、大丈夫です!ヨーキがその分、強気ですから釣り合いが取れますから(笑)

企画に参加してくださった皆様、ありがとうございます!(お辞儀)
あと2つ、頑張ります!






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