(剣士×音楽家)
・・・・今まで、ずっと独りでいることが当たり前だと想っていたのに。いつの間にかブルックは仲間と、ゾロといることが当たり前だと想うようになった。
そんな風に、いつの間にか変えられた認識に、くすぐったいような、泣きたいような、恥ずかしいような、嬉しいような、色々な感情が混じって何とも言えない気持ちになるが。
でも、決して嫌な気持ちでないことだけは断言できる。
きっと、この空っぽの胸に様々に灯るのは。しあわせ、と言えるものなのだとブルックは想う。
そして、そう想える日が来るなんて、あの独りの海では欠片も考えたことがなかったから。今が、しあわせでしあわせで・・・・笑いたいのに、泣きたくなるのだとゾロに伝えれば。
「・・・・泣きたかったら、泣けばいいじゃねえか。」
ブルックの涙に極端に弱く、いつもどうしたらいいのか四苦八苦する癖に。ゾロは、ブルックに笑うことを強要しなかった。
その想いがけない一言に言葉を詰まらせ、かすか震えるブルックを。
「・・・・しあわせだと思って、泣きたくなるんなら。我慢しなくても、いいじゃねえか。」
傷つけないように、少しぎこちなく。今にも落ちそうになっている目尻の涙を、ゾロは不器用に拭う。
その、あたたかく優しいゾロの仕草に言葉にグスグズと鼻をならし。
「そ、いうこと、言われ、ると。本当、泣いて、しまうんです、けれど!」
笑って、いたいのに!!
つたない言葉で、何てことを言うんだと。癇癪を起した幼子みたいに、言い募るブルックだったが。
「好きなだけ泣いたあと、好きなだけ笑えばいいじゃねえか。」
ゾロは、事もなげに言い返す。
・・・・そんな風にブルックの我慢を崩すことばかり、甘やかすことばかり言ってくるから。
「・・・・ゾロさんの、ばか・・・・!」
ほろほろ、と。我慢出来ないで、ブルックは零れ落ちさせてしまう。
けれど、ブルックの罵倒なぞ堪えていない様子で。しあわせだと想う故の証を、ゾロは愛しげに拭いながら。
「馬鹿でいいから、今は俺の傍で好きなだけ泣いとけ。」
ブルックを、さらに泣かすことを告げてくるから。
「・・・・・・・・ゾロさんの、ばか・・・・・・・・!」
ゾロは、ブルックから再度、馬鹿呼ばわりされてしまうことになる。
しかし、それは疎ましさから生まれたブルックの言葉ではないのでゾロを傷つけることはない。
それどころか、感情をブルックにぶつけてもらえることがゾロは嬉しくて仕方なかった。
・・・・もう、独りで気持ちを堪えることをしないで。素直に、己に伝えればいいのだとゾロは想う。
だから、ゾロは悲しみとは対極にあるブルックの涙を丁寧に拭いながら。
己を馬鹿呼ばわりすることを繰り返すブルックの、自身が独りでないしあわせを噛み締める気持ちをきちんと受け止め、傍に居続けた。
(泣いて泣いて、泣いたそのあと。しあわせだと、笑ったらいい。)
・・・・初めて、泣いているブルックの前で男前なゾロを書いた気がす(殴)
あ、でも今回ゾロが動揺していなかったのはブルックの泣く理由が「しあわせだから」って分かっているからですよ。
分かっていなかったら、いつも通りに四苦八苦していますから。(いい雰囲気ぶち壊し発言)
・・・・・すみません、ヘタレゾロ推奨派なんで(推奨するな、そこ)
この度は企画に参加してくださった皆様、ありがとうございました!(お辞儀)
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