(剣士←音楽家で音楽家←剣士))





まだ、一緒にいる時間は短いけれど。でも、ずっとずっと見続けてきたから分かった。
ゾロさんに恋している私だから、判ってしまった。
好きな人がいる私だからこそ、解ってしまったのだ。



(・・・・ゾロ、さんも。恋、をしている・・・・。)



それが分かってしまった時の私の心境は・・・・・言いようがないものだった。
様々な感情がクルクル、グルグル身体を巡ると同時。立っていることも息をすることも困難なほどの痛みがクルクル、グルグル心を巡った。
けれど、そうした感情と痛みが渦巻くなか。ひどく冷静な声が、私の頭に響いた。

(あんなに素敵な人を。好きにならない人なんて、いないでしょう?
 だから、もう想いあう人がいたって。何の不思議もないでしょう?)

・・・・・確かに、確かにそうだけれど。それを頭が分かっても、心が分かろうとしない。
だって、私は。ゾロさんに恋をしているのだから、分かりたくなんてなかった。



(・・・・・ああ、でも・・・・・!)



ゾロさんの表情を見てしまえば、否応なしに分かってしまう。
だって、その表情は。ゾロさんに恋している私が浮かべるものと、あんなに似ているのだから判ってしまう。わかって、しまう!!!

(・・・・・・・ああ・・・・・・・!!)

ついに耐えきれなくなって。蹲って、頭を抱えたブルックに。

「!おい、大丈夫か!?」

いま、会いたくない人が気づいてしまった。
ひどく慌てて駆け寄って、心配して体調を聞いてくるゾロが。痛くて痛くて、堪らないブルックだったけれど。

(・・・・ちゃんと、しないと。そうしないと、ゾロさんの迷惑になる・・・・・!)

好きな人の迷惑になる!

そのことが、いま襲っている痛み以上に耐えられなくて。だから、ブルックはゾロに。

「・・・・すみません!久しぶりの太陽のした、はしゃぎ疲れて眩暈がしちゃいまして!!! 
 ヨホホホホ!心配させてしまいまして、ごめんなさい!!」

でも、今はこんなに元気ー!

嘘を、ついた。
その言葉に、まだ納得していない表情をしていたゾロに。

「心配しないでください。あとで、チョッパーさんに診てもらいますから!」

健康だって、太鼓判貰えると思いますけれどね!ヨホホホホ!

重ねて、嘘をついた。
でも、その嘘に。ようやく安心した表情を見せてくれたゾロに。



(・・・・・・よかった・・・・・・。)



ブルックのほうこそ、安心した。
・・・・・だって、ゾロは。ブルックが、大好きな人だ。
だから心配も、迷惑もかけたくない。だから、嘘をついたけれど。



(・・・・・好きな人にも、嘘をつくような私では。失恋しても、しかたないですね。)



心の裡で吐き捨てるように、ブルックは自嘲した。
・・・・・けれど、ゾロが誰よりも先にブルックの様子に気付くことができたのは。ゾロが常に視界にブルックを入れていたからこそだということを、まだ一緒にいる時間が短いブルックはそこまでは分かっていなかった。








(失恋したと決めつけるには、まだ早い。)










・・・・・相手の片恋に気付くと。切なさが想ったより増量するんですね(滝汗)
書いていて、なんかキツかった(がくり)
やっぱり両方、分かっていなくてジタバタしている両片思いが好きだー!!!(絶叫)←うるさい








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