(骨←藻)





朝。
けたたましい目覚まし時計の音によって起こされたブルックは、けれどベッドから起きだすことなく。

「・・・・会社、行きたくない・・・・。」

掛け布団を頭から被り直し、引きこもってしまった。



・・・・だって。昨日は、散々だったのだ。



ヨーキの口説きは仕事中だけに終わらず、仕事が終わって帰ろうとした時からが本当に。本当に性質が悪くて、手を焼いた。
なんとかヨーキから逃げ出した後も、誰と結婚したのか気になる会社の皆に捕まり質問攻めにあい。更にその後も、一体どこで知ったのか友達たちからも電話・メールで聞かれまくった。
その全てに答えを濁して、なんとかマンションに辿り着いた時にはブルックは心身共に疲れはてていた。
そのためゾロに帰宅の挨拶をしたあと、すぐに自分の部屋に行き。ブルックは、倒れるようにベッドに突っ伏して寝てしまった。
だから化粧すら落とさず、服も着替えないで寝たために。顔も服もぐちゃぐちゃで、気持ち悪いけれど。

「・・・・起きたく、ない・・・・。」

昨日、午後からの数時間だけの質問攻めに、ヨーキの性質の悪い口説きに。こんなに疲れはてたというのに、今日1日中、同じ目にあうのかと思えばゾッとする。



けれど、ある意味サボりに近いことをするにはブルックは生真面目すぎた。



だから、のろのろ、と。心底、行きたくない気持ちで動かない身体をなんとか動かして起き上がり、服を着替え部屋から出れば。

「・・・・ゾロさん?」

ブルックの部屋の前。心配そうな顔をしたゾロが、待ち構えていた。
ゾロは、ブルックのぐちゃぐちゃになっている顔を労るように触れながら。

「・・・・今日は休むって、会社に電話いれたから。」
「・・・・は?」

ブルックに、断りなくしたことを告げた。

「え?え??何、で?何で??!」

そのゾロの言葉に、ブルックは慌てるが。

「昨日、飯も食えないほど体調悪かったんだろ。
そんで今日も、いつもなら起きている時間に起きれないほど体調悪いんだろ。だったら、無理しないで休めよ。」

慌てるブルックを、ゾロはやわらかい声で顔で宥める。
けれど、それを聞いたブルックは。ゾロにとんでもない勘違いをさせて、行動させてしまったことを知り、顔を青ざめさせる。
そんなブルックの顔色の悪さに、更にゾロは心配して。ブルックを部屋に戻して、ベッドに寝かしつけようとするから。

「だ、大丈夫、ですから!本当、大丈夫ですから!!」

勘違いによるゾロの心配が、気遣いが本当に申し訳なくて。寝かしつけようとするゾロの手から逃げようとすると。

「・・・・ブルック。」

静かな、けれど強い強い声で名を呼ばれ。思わずブルックは、動きを止めた。

「・・・・無理しないでくれ。頼むから。」

心配に揺れる瞳で、不安げに揺れる声で。ブルックを案じるゾロを前にして。

「・・・・。」

昨日から誰にも遠慮も気遣いもされずにまとわりつかれ、追及ばかりされていたブルックは。ゾロの労わる優しさが疲れた心に沁みいって、声が出なかった。
そうして沈黙したブルックを、ゾロは優しく寝かしつけ。

「・・・・・ブルック。辛い時は、頑張らなくていから。」

優しい言葉を、かけてくれるから。昨日のせいで疲れ弱っていたブルックは、つい。

「・・・・はい。」

その優しさに、甘えてしまった。








(・・・・だって、本当に辛かった・・・・・!!)












「2日目」は、ゾロのみ登場で。そして、ヨーキが幾ら言っても負けないぞ、という覚悟をブルックが決める日ともなります。
・・・・前篇、読んでいる限りでは無理っぽいですが(爆)

後篇は出来次第、Upしますので少々お待ちください。










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