(藻骨)





・・・・すぐ近くで、紅茶の香りがする。
大好きな人の、大好きな香りが。本当に近くでするものだから、なんでだろうと不思議に想いながら、意識を浮上させていけば己の耳に届く雀の声に。

「・・・・・・・・・。う、もぅ、朝、か?」

ゾロが、起きたばかりの掠れた声を出せば。
ビクリ、と。自分の腕にいる『何か』が大きく動いたことに驚き、『何が』いるのだろうとゾロが目を開ければ。



(・・・・・・・・・・ブ、ルック・・・・・・・・・?)



そこには、愛しい人の後ろ姿が目に飛び込んできた。

(・・・・・・・ああ。そうだ、昨日・・・・・・・・)

夜遅くに、酷く酔って帰ってきたブルックに手を貸して。ブルックの部屋に連れていこうとしたのだ・・・・・・・・最初は。
だけど。



「ゾロ、さんは。いいこ、ですねえ。」



部屋に連れていこうとしたブルックが、連れていく途中でそう言い。酔いのために覚束ない手で、ゾロの頭を撫でてきた。
その行為に。完全に、自分を子供としか見てくれない彼女に心が痛んだが。
だけど、初恋の人で。いまも好きで居続ける人に、当たり前みたいに触れてもらえることが嫌ではなかったから。



「・・・・・いいこ、って年じゃねえよ。」



ため息とともに。苦い気持ちを、誤魔化した。
しかし、ゾロのその一言で。パチリ、と大きく目を瞬かせ、ゾロをじっと見つめてからブルックは。

「・・・・・・確かに。おっきくなりましたものねえ。
 ふふ、すごく、いい男ですよー。」

楽しそうに、笑いながら。バシバシとゾロの背中を叩きはじめたブルックに。

「・・・・・・・・!!」

ゾロは、思わず言葉を失う。
酒のせいとはいえ、あけすけに好きな人から『いい男』と褒められて。ゾロは一瞬で、ブルックと同じくらいの赤い顔になり。

「・・・・・・・な、に・・・・・いって、んだよ。」

恥ずかしさから、顔を背けて言うが。

「ほんとう、ですよー!
 ゾロさんは、いーいー男です!
 私が、もうちょっと。・・・・・いえ、随分若かったら、告白したいほどにー!」

へらへら、と笑いながら。そう、ゾロに力説してくるブルックに。



(・・・・ほんとう、に。俺のことを、そう想ってくれてんだろうか・・・・・?)



ゾロの理性は、だんだん焼き切れてくる。
だって、ブルックが酔っているからこそ、こんなことを言ってくるのだと頭では分かっているのだけれど。でも、こんなに好意を、好きな相手から伝えられて・・・・・・期待しないでいるほうが、無理だった。
だから。

「ブルックが、若くなくても。俺は、構わない。
 ・・・・・・・・俺は。ブルックだけが、好き、なんだ。」

ブルックに自分が子供だと思われて、相手にされていないと分かっているから。ずっと、ずっと言葉にできなかった想いを告げれば。



「わたし、も。ゾロさん、好きですよー。」



にっこり、と。満面の笑顔で、ブルックが応えてくれたから。

「!!」

ゾロは、ブルックの言葉を聞き終わると同時に。ブルックを強く、強く抱きしめ口づけた。
そうして、両想いになれたブルックを部屋には帰さず、己の部屋に連れて行き。思う存分、愛し合ったのだ。
・・・・・だけど、そうして愛を確かめ合った相手に、いま。



(・・・・・何、言えばいいか。分かんねーな・・・・。)



しあわせで、しあわせで。ただ、しあわせとしか言えない今の気持ちを。どう、伝えていいのか初めてのゾロは分からないでいたけれど。
でも、分からないことでいることさえも。それはブルックと、恋人になれたことで生まれた分からないことなので。

(・・・・・・・ああ、くそ。馬鹿みてえに、しあわせとしか言えねーし、浮かばねえ・・・・・・!)

なんたる甘ったるい思考だと、むず痒くなっているゾロを。振りかえってきたブルックが、涙目であったので。

(・・・・・・・な、なんで・・・・泣いて・・・・・・・!?)

ひどく驚き、固まってしまったゾロに。ブルックは。


「・・・・・・・ゾロさん!!結婚しましょう!!」


なんて。爆弾発言を、してきたものだから。
その言葉に衝撃を受けすぎたゾロは、その言葉のあとに続いた。


「私、昨日の責任、とって!貴方を、幸せにしますから!!」


昨日の出来事を、まるっきり覚えていないことが分かる彼女の発言を。完全に、聞き逃すこととなる。










(・・・・・だって、仕方ねえだろう?
 『恋人』だけでなく、『夫』の座まで確約されたしあわせに。その時の俺は、溺れていたんだから。)











・・・・・ゾロ視点もやっちゃった感が、非常にあります隊長!
クレームが来そうな予感が、ビシバシとしております隊長!
でも、書いてて楽しかっ←撲殺
そしてエロ書けないので期待していたかた、いたらごめんなさい無理です(土下座)

・・・・・酔って覚えてないブルックさんと、覚えているゾロの視点ではかなり食い違いがありますね(爆)
ブルックさんは自分が手を出したと思ってますが。実は、告白をOKしてもらったと思ったゾロが手を出したっていうオチです。
でも、たとえ酔っていたとしても。ずっとずっと好きだった相手から「好き」なんて言われたら男は手をだすと思います(爆)

まあ、この後の展開としましては。山ありまくり谷ありまくりで、すったもんだして結婚に行きつきます。

結婚までものすごく、長い道のりになりますが。しあわせになるため、頑張れー!













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