(藻骨←布)
誰もが戻ってほしくないと願うなか、けれど時間を止める術なぞ持たないヒトの身に無情なる時計の針は冷酷に、当たり前のようにヨーキ社長の戻る時刻を知らせるから。
(((((・・・・・・・・ああ。))))))
絶望が、皆の頭を埋め尽くす。
けれど何もしないでいるよりはと皆で手分けして、事前に書類を避難させたり、データのバックアップを取ったり、万が一のために救急箱・取り押さえる縄も用意はしているが。
でも、これで万全だとは言えない不安が皆の裡に渦巻いている。
・・・・・・・何故ならヨーキがブルックに対して、酷い事はしないと断言できないうえ。ブルック以外にも、酷い事をしないと断言できないからだ。
何度も言うが、ヨーキはブルックに惚れている。惚れぬいている想い人に旦那がいる事実を知って、どんな反応を取るか皆目見当がつかないから恐い。
暴れるのか?泣くのか?喚くのか?叫ぶのか?大暴れするのか?一体、何をするか分からないから怖い。現場にいるから、ヨーキの手の届く範囲にいるから尚更こわい。
戦々恐々としている職場のなか。ついに。
「戻ったぞー!」
いつもの明るい、けれど今だけは場違いなほど明るいヨーキの声が響き渡る。
(((((((・・・・・・・・かえってきたああああああ!!!!))))))
自身を、まるで地獄の主を見たかのように見つめる社員の顔に不思議そうにヨーキは首を傾げるが。
「おかえりなさい、ヨーキ社長。」
かけられた想い人の声に。あっさり疑問を捨て振りかえった瞬間、皆が心底気づいてほしくないことにヨーキは気付いた。
「・・・・・ブルック。その指輪、どうした?」
それを問われたブルックの頬は一瞬にして、薄紅色に染まり。照れに揺れた黒の瞳は、ヨーキから視線を外し。
「・・・・・・み、見れば分かるでしょう。そ、それより!」
話題を変えようとするが。
「ブルック。」
己の名を呼ぶヨーキの有無を言わさぬ声に、黙らされることとなる。
「・・・・・・なあ、ブルック。その指輪、どうした?」
問う声は、ひどくひどく甘いというのに。近づきブルックの左手をとるヨーキの右手は、ひどくひどく優しいというのに。
なのに、なんで。こんなに、こわいのだろう?
当人ではないのに、見ているだけなのに。足が震え、冷や汗が止まらない。
怒っている気配はない、怒鳴っているわけでもない、冷たい空気でもない。なのに、怖い。ひたすら、恐い。穏やかさが、こわくて仕方ない。
関係ない周りですら恐怖に陥っているのだ。当事者であるブルックも、当然のように周りの比ではない恐怖を味わっている・・・・が。
ブルックは、一つ大きく深呼吸をしたあと。震える足を強く押さえこみ、冷や汗が止まらない身体を毅然とさせ。
「『結婚』指輪が、どうかしましたか?」
強い目で、強い声で。真っ直ぐに、ヨーキに答えた。
その勝気な性分にヨーキは目を細め、返ってきた言葉に口元を弧に描く。
それは笑みに良く似た表情だが、けれど、あたたかさなぞ微塵もないもので。思わず気圧されるブルックに構わずに。
「だれ、と。結婚をしたんだ、ブルック?」
いまだ掴んだままのブルックの左手に、恭しく口唇を寄せて。
「なあ、ブルック。
俺の知らない間に、一体、どこの誰としたんだ?
教えてくれないか。」
ヨーキは、問う。
・・・・常であれば、セクハラだと殴り飛ばすブルックではあるが。常にない様子のヨーキに戸惑い、手をあげることを躊躇っている。
それにヨーキが聞いている内容も、おかしいことではないから。なおさら、手をあげることを躊躇っている。
部下であり、また学生時代からの知り合いでもある女性が自分の知らない間に結婚していたら。誰だって相手が気になるし、知りたいことだろう。
だけど、まだ未成年である『結婚相手』を簡単にブルックはヨーキに教えることができないから。
「・・・・・・今度。紹介します。」
当たり障りのない返答を、かえす。
しかし、その答えで納得するヨーキではない。というか、その言葉を聞いて自身に教えたくないと悟ったヨーキは更に目を細め、口元の弧を歪める。
そのヨーキの表情に、さきほどの比ではない恐さがブルックを襲うなか。ヨーキは、おもむろに手にとっていたブルックの結婚指輪が嵌めてある薬指を。
「・・・・・・・いったああああああああああああい!!!!!!!」
咬んだ。
「ちょ、はなし!いた、ほんきで、いたい、から!!!!」
あまりの痛さに、恐怖を忘れ。ヨーキの頭を容赦なく叩き、ブルックは引き剥がそうとするが男と女では力の差が歴然で。
「いたい、いたい、いたいいいいいいい!!!」
ヨーキの気のすむまで、ブルックは咬まれ続けた。
「・・・・うん。これで、よし。」
「〜〜〜〜なにが、よし、ですか!!??馬鹿あああああああ!!」
ようやく解放されたブルックの左手の薬指は、思いきり充血していて。まるで赤の指輪をしているかのようだった。
「っなんで、こんなこと!!」
怒りで咬まれた跡と同じ赤さに染まったブルックが、ヨーキを引っ叩こうとするが。ヨーキは軽く、その手を受け止めて。
「ブルックが俺に旦那を紹介しない限り。俺は、この痕を付け続けるからな。」
とんでもない発言を、かました。
「な!!!!??」
その発言に一気に青くなったブルックに、更に追い打ちをかけるように。
「それと、今日から本気で口説くからな。」
いつもより熱を籠めた声で、情を混めた目で。ヨーキは、宣誓のように告げるが。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
それはブルックにとって、寝耳に水であった。
何故ならブルック本人だけが、ヨーキに惚れられていることに気付いていなかったからだ。
しかし、それも仕方がないことだった。ブルック本人は知られないように、けれど周りには分かるようにヨーキは仕向けていたのだから。
「お前は、結婚を幸せだと思っていなかったから。恋人を、仕事の邪魔だと排除していたから。
本気で口説かなかったんだけど、もう遠慮はしねえ。」
だけど、それは今日から止める。止めて、ヨーキは求めることにする。
「え?ええ??ええ、え?!」
けれど、そんなヨーキについていけず戸惑うブルックに。ヨーキは今日、戻ってきて始めての笑みを浮かべながら。
「愛しているから、覚悟しとけよ。ブルック」
誓いのキスを、愛しい女性の頬に落とした。
(略奪宣言、その壱。)
謝ります。えらい暴走で、すみませんでした(土下座)
でも、これでも押さえたほうでして。(ええ??)いや、初めヨーキはキレてブルックさんを押し倒して周りから取り押さえられるというssを(撲殺)
けれどキスしたヨーキは「セクハラ!」とブルックに、その場で殴られていそうですが。そして社員の皆様は実質被害が出てないことに安堵しながらも、精神的被害がこれから山のように襲ってくる現実に鬱になっていることと思われます。
しかし、このヨーキ相手だとゾロはものすごく大変だと思われるのですが。そして、ここにシャンクスが加わるとどうしようもなく大変だと思われるのですが。←待て、そこの書いたやつ
・・・・・・・・頑張れ、ゾロ!←無責任
あとヨーキがブルックにつけた赤の痕は、まだ見ぬ旦那=ゾロに対しての宣戦布告と。ブルックがつけている結婚指輪を認めない、自分の指輪こそが相応しいという主張です。
・・・・・・・・キレた大人の本気って性質が悪いですよね!←待たんかい、そこの書いたやつ
書いた本人は、とても楽しかったのですが。果たして、何人引かないでいてくれたことでしょうかこのssは。←ほぼ引いたと思われます
うん、深く考えたら書けなくなるから考えないようにしよう!←言い切った!?
苦情がきたら夜逃げする準備は出来てますので!でわ!!(逃亡)
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