(三骨+クルー)






昨日の夜までは、確かに骨だけの存在だった彼女が。朝、起きたら30代の頃の肉体を持って存在していた事実に。

「え、ちょ、何で!?何で!?!」
「へ、変なものでも食ったか?!」
「い、医者ー!!」
「おめえが医者だよ!」

ほとんどのクルーが驚き、混乱の渦に陥った。
予想も出来なかった現実に、落ち着いている例外は一人だけで。その一人は、自身に起きたことを理解出来ず呆然としているブルックの傍に行き。

「昨日の貴女もお美しかったですが、今日の貴女もお美しい。」

理由もはっきりしない、異常な姿であるにも関わらず賛辞を送り。愛しげにあたたかい手をとり、くちづけを落とす。
その行為に一瞬にして、頬を赤く染め。触れた男を見ていられなくて、俯くブルックに。

「愛しい貴女。どうか目を逸らさないで。」

砂糖菓子みたいな甘い甘い声で、サンジは恥ずかしさで顔をあげることが出来ないブルックを促す・・・・が。

「そこ、何イチャイチャしているんだ!!」

そんな場合かとウソップから、突っ込みを入れられ。二人だけの世界を作るなと、引き剥がされた。
それに不満を隠さず、サンジは苛立たしげに。

「ったく、邪魔するなよ。ウソップ。
恋人たちの甘い時間だ、気をきかせろよ。」

無粋すぎると、言い切るが。

「何で驚きもせず、お前は当たり前にイチャイチャしているんだよ?!!」

ウソップは、おいおいと疲れた顔で。更に突っ込みを重ねる。
けれど、それを不思議そうに見。

「レディが美しくなったことに、何か問題でもあるのか?
それに肉体があるほうが、いいじゃないか。出歩くことに気を使わなくてもいいし、アクセサリーだって気軽につけられるし、たとえ病気になったりしても俺たちと同じ治療が出来る。
いいことだらけのことを、驚き、慌てる意味があるのか?」

サンジは、きっぱり言い切る。
・・・・そう言われると、確かにそうなのだが。理由も分からないで得た肉体を、普通は驚くし不安に思うものだろう。
しかし、そんなウソップの胸中を吹き飛ばすかのように。

「これから先、この身体のせいでレディになにか大変なことがおこったなら全力で俺たちが助ければいいだけの話だろう?
今は、この奇蹟を感謝すればいい・・・・・・何十年ぶりかの、肉体なんだから。ねえ、レディ。」

前半は毅然と、不安なぞ蹴り飛ばす勢いで。そして後半は愛情をこれでもかと籠めて、サンジは優しく促す。

(・・・・・・なんだろう。最初は頼れる感というものが聞いていてあったんだが、最後のほうだとやってられない感に変わっている気がするのは俺だけか・・・・・?)

またも2人の世界に突入したカップルに、おいおいおいおいと思いながらも。今度は引き剥がさず、胸中だけで突っ込みをウソップは入れる。
・・・・ちなみにウソップ以外のクルーは、既に居なくなっている。彼らいわく。



「「「「「「命に関わるような、大変なことになったら呼んで。それ以外では呼ぶな、やってられないから。」」」」」」



驚きと心配を返せと言いたいが、言っても意味ないかと投げ捨てて。各々、散っている。
ウソップもそれを見習い、さっさと甘い空気から逃げたいが。誰も何も言わずに去るのもいかんだろうという常識が、不幸にもあるものだから。

「・・・・・困ったら、声かけろよー。」

全く困る要素なぞ見受けられないが、それでも一声かけて。

「手配書でも、その御姿をみましたが。やはり本物は、可憐さが違いますね!」
「え、そ、そんな!あの、か、可憐だなんて!!」
「謙遜なさらず、マイ・レディ。本当に可憐です。」
「・・・・サ、サンジさんったら・・・・。」

全く聞いていない2人に、でかいため息を零し。現状をすっかり受け入れたバカップルを、ウソップは放置した。








(・・・・バカップルを更にバカップルにするなんて何の苛めですか、と天を仰いで罵りたくなったのは俺だけではないはずだ。)







お待たせいたしました、真夜様!
何故か「骨が肉体をもつ」というリクに、バカップル+ウソップ苛め(笑)が追加していますが!
楽しんでもらえたら幸いですv

今回は企画参加、ありがとうございました!(お辞儀)




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