(布骨)
注・「シャム猫」設定のブルックです。
・・・・最初は、ちゃんと我慢していたのだ。「好きだ」と告げてはいるものの、まだブルックを自分の女にしていないのだから。
だからヨーキは手を出したいのをぐっと我慢して、ブルックに健全に付き合っていたのだが。
紅茶を飲みににいくために歩く道すがら、町の人間とすれ違うたび。ブルックはヨーキの背に隠れ、うつむいてやり過ごそうとするから。
「・・・・違ってたら、悪い。もしかして、人が怖い、か?」
そう、問うヨーキの声に。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。別に。」
顔を青くしたまま、元気のない擦れた声でブルックが答えるその姿を見て。ヨーキはブルックが他人をひどく嫌っていると噂で聞いていたが、実際は他人が恐いのだと気付いたが。
「・・・・そうか、変なこと言って悪かった!」
だけど、そのことに気付かれたくないブルックを気遣って。ヨーキは、愚鈍な振る舞いをした。
しかし、そんなヨーキの真意を見抜いたブルックは。何か、を言いかけるが。けれど、何を、言えばいいのか分からない途方に暮れた顔をするから。
「・・・・美人さんが、そんな顔するなって!!」
励ましの言葉をかけながら、ヨーキはブルックの髪を手荒に撫でる。
この無遠慮な行為でブルックの途方に暮れた顔を失くして、怒り顔を引き出そうとしたヨーキだったが。その考え通りにはいかず、ブルックから引き出せたものは。
「・・・・・・・変、な人ですね。」
つれない言葉を言いながらも。強張った頬をかすか緩めて、笑った表情だった。
そして、その笑い顔を見て。ヨーキは、自分の理性がグラつくのを感じていた。
(・・・・・いかん、いかん、いかんぞ、俺!!)
まだ、手を出してはいかん!
そう、繰り返し言い聞かせることで己の理性を呼び戻そうと躍起になるヨーキだったが。
・・・・だが。つれない言葉ばかりだけど、一方的なデートの誘い場所に来てくれて。
しかも、服(嫌いな色と服だと知らなかった俺が悪かった!)は着てはこなかったけれど、それに怒ることもせず帰ることもしないで。贈り直した服を素直に身につけ、ずっとヨーキの傍から離れないで可愛らしい姿をヨーキに見せるブルックに。
ついに。ヨーキの理性は、耐えられなくなった。
・・・・そうして。我慢出来なくて、ブルックに手を出した結果。
「・・・・いっ、てえ・・・・。」
思いきり殴られ、蹴られたためにヨーキの顔は腫れあがり。身体はズタボロにされてしまった。
「・・・あー。流石、護衛団長。暴力に、慣れてるな。」
フラフラと覚束ない足で、立ち上がり。歩きはじめたヨーキの顔は、酷い目にあわされたというのに何故だか楽しそうだった。
それは、我慢出来ずにブルックにキスしたヨーキを。容赦なく、ブルックが叩きのめしたあとに。
『・・・・っ、今度。私の許可なく、このような真似をしたら、その首刎ねます!』
冷たい顔で、斬り付ける声で、言い切った言葉が楽しくて。ヨーキは笑う。
・・・・ヨーキが、海賊だと知ってるくせに。無法者を、その場で処断できる権限を持っているくせに。
なのに剣は抜かず、暴力だけで留め。海賊を、ヨーキの命を見逃し続ける彼女が愛しくて、ヨーキは笑う。
(・・・・それに。ブルックの許可があれば、またしてもいい訳だ。)
などと、懲りないことを考えながらも。さて、どうやって彼女の機嫌を治そうかと、怒って帰ったブルックの後をヨーキはのんびり追いかけはじめた。
(・・・・・・俺に目をつけられて。逃れられると思うなよ、ブルック!)
デ、デートまでこぎつけたのに。結局、こんなオチですみません。そして「ツンデレ」を、間違って書いているみたいですみません。
でも猫は調子に乗って構うと、嫌がって、逃れるために攻撃してきますから!(そ、そうかな?)
なので、最後の最後でシャム猫ブルックさんに引っ掻かれたヨーキ船長ですが。全く懲りていないので、ブルックさんの受難はまだ続きます(でも、最後には幸せになるから諦めて!)←ええー
このような長々とした駄作ですが、リクをくださったジスト様のみ、この話をお持ち帰り可です。(返品も可です)
リク、ありがとうございました!!
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