(三骨)







花屋の隅に打ち捨てられた、枯れた白バラ。
最早、誰にも見向きされないその花から。美しさを失くしたものは、誰からも見放されるという現実を突き付けられているみたいで。

「・・・・・・。」

ブルックは、胸が苦しくなってきた。
いまは外出用の手袋や仮面で隠しているけれど、その下にあるものはお世辞にも美しいものではない。否、醜いと断じられるものでしかない。
そんなブルックを、あの人は身放さないでくれるのだろうか?美しさをとうに亡くしたブルックを、あの人が見向きもしなくなる日がくるのだろうか?

「・・・・・・・・・・・・・っ。」

それは、いまだ訪れていない未来だけれど。でも想像だけでも十分すぎるほどの恐怖に囚われたブルックの、すぐ隣に。



「ど、どうかしましたか!?レディ!」



食料の買いだしに出かけていたはずのサンジがいた。

「・・・・・・え、ええええ!?」

いきなりの本人登場に、素で驚いているブルックに。

「あそこで、なんだか元気のない姿を見たものですから急いで来たのですが!
 具合でも悪いのですか!?何か、ありましたか??!」

乱れた息も姿も整えず、サンジはブルックだけを心配していた・・・・・・が。



(・・・・・・あそこ、って。ここから軽く3キロは離れているみたいなんですけれど・・・・・・。)



なんか、うん。すごすぎて、その、サンジさんの気持ちは嬉しいのですけれどー。

と、若干引き気味なブルックだったが。サンジの本気の心配を前にして、さきほど感じていた恐怖は瞬く間に消えていた。

(・・・・・・・・・・サンジさんは。いつだって私の不安を無くしてくれる人、ですね・・・・・。)

なんだか、そのことに泣きたい気持ちになりながらも。ブルックは、サンジを安心させるために。

「・・・・・ちょっと、疲れただけですから。休んだら、大丈夫ですよ。」

そう、当たり障りのない言葉を返す。

「・・・・・そう、ですか?」

しかし、その返答にあまり納得がいかない様子のサンジであったが。ブルックが言いたくないことなら追求しなくてもいいかと、あっさりと口を閉ざす。
そうして、その代わりとばかりに。

「それではレディが休める場所までのエスコートを、私めにお任せしてもらっても宜しいでしょうか?」

やや芝居がかった、けれど非常に手慣れた所作でブルックの細すぎる手をとり。サンジは、ブルックを誘う。
その誘いに、照れが多分に交ざった苦笑をしながら、ブルックは。

「お任せしてもよろしいでしょうか、サンジさん。」

やや芝居がかった、少しぎこちない強張った手で。触れあっているサンジの手を握り返して、誘いに乗る。
そうすれば、途端に破顔して。しあわせそうに、案内をしはじめたサンジを見ながら。

(・・・・大丈夫、大丈夫。サンジさんなら、大丈夫。)

こんな私を、こんなにも想ってくれる人だから。きっと、大丈夫。

まだ、ほんの少し見放される恐怖は残っているけれど。それでも、大丈夫だと想わせてくれる人の手が離れてない今を噛み締めて、ブルックはサンジと共に歩きだした。







(醜い私を、どうか愛し続けてください。)(はい、生涯、愛し続けます!)







『枯れた白いバラー生涯を誓う』



バラの花言葉ss、遂に女体化にまで進出(笑)
あとはIFに手を出したら完璧ですね!(えーと)
・・・・・でも、他の受けssでも書きたいなあ(どれだけ花言葉ss書く気ですか、貴方!?)
しかし、この花言葉考えた人、ロマンチストーv
だって枯れた花=老いた大切な人と見立てて、愛を誓いますって意味を込めているんですもの!素敵ですv









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