(布→音楽家←剣士)










注意!このお話ではヨーキが50年前と変わらない状態で、麦わら団にいるブルックとゾロに絡んでいる設定になっております。
   そのことを踏まえてから、お読みになってください。





























細すぎる白の右手を、しっかりと握りしめてから。

「あっちに、いい楽器を扱っている店があったんだ!行こうぜ、ブルック!!」

楽しそうに、ヨーキがブルックを誘う。
だけど、ブルックがその問いに答える前に。空いている白の左手を、離すものかと必死に掴んで。

「こっちに、旨そうな酒を置いている食いもの屋があった!だから、行くぞ、ブルック!!」

懸命に、ゾロもブルックを誘う。
しかし、2人同時に誘われて。どうしたものかと迷い、言葉を発しないブルックを間に置いて、譲る気なぞ微塵もない両者は睨み合う。

「・・・・1人で侘しく酒でも飲んでやがれ。ブルックは、
俺と、行くんだからな!」
「・・・・てめえこそ、1人で楽器を選んでいろ。ブルックは、
俺と、行くんだ!」

殺気まじりの言い合いに、物理的に相手を黙らせたがっている2人の様子に。

「あ、あの!!」

このままにしておけば大惨事になると、恐れて慌ててブルックは声を出すが。



「「どうした、ブルック?」」



ブルックの声を聞き、言い争いをやめて振り返った2人の顔は。先程までの敵意と殺意を全て無くし、ただただやわらかい表情で。
得がたい唯一を見るように、愛しい無二を見るように。ブルックを見るから。

「・・・・・・・っ!」

思いきり驚いて、固まってしまう。
そのため自分から声をかけたのに、固まってしまったせいで言葉を出せず長く沈黙するブルックを。だけど2人は「早く話せ」とブルックを急かしもせず、責めもせず。それどころか。

「具合でも悪いのか?」

労るように、あたたかく。肉のない頬をあやすように、優しく触れるヨーキや。

「少し、休むか?」

心配そうに。薄っぺらい、骨の身体を当たり前のように触れて気遣うゾロの態度に。

「・・・・・・・・・・・。」

抜けきれない驚きに加え、先程の恐ろしいまでの険悪さとのギャップについていけないブルックはますます、固まる。
けれど、いまだ何も言わないブルックを、ひたすらに甘やかし。2人は優しくし続けるから、遂にその空気に耐えられらなくなったブルックが。



「わ、わた、し!こ、こうちゃ、のみた、いです!!」



上擦った、必死な声で。

「なの、で、おふたりには、わるい、のですが!わ、わた、し、これで!!」

失礼、します!!!

と、続けるはずが。

「そうか。んじゃ、行くか。」
「分かった。行くぞ。」

ブルックの要望の前に、あっさり、と。己が誘った場所へ行くことを放棄して『紅茶を飲み』に行くことを決めて、2人、歩きだす。・・・・・ブルックと繋いだ手を、離さないままに。

「わ、わ。」

そのせいで、引きずられるようにして。ブルックは、2人に連れて行かれる羽目になる。

「あ、あの、わたし。」
「テメーは、酒飲みに行っていいんだぞ。
俺が、ブルックと飲むからな!」
「ひ、ひとりで。」
「テメーこそ、楽器見に行っていいぞ。
俺が、ブルックと飲むからな!」
「・・・・・あの。無視、しないでくれます?」

「「ブルックを無視するわけないだろう!?・・・こいつ相手なら、するけどな!」」

心底、心外そうに。そして、忌々しげにヨーキとゾロは互いを見て断言する姿に。




(・・・・・仲が悪いのやら、良いのやら分かりませんね。)




こっそり、ため息をつくブルックを間に置いて。また、言い争いあう2人だが。
どれだけ相手が、邪魔で邪魔で邪魔で排除したくても。実行するためにはブルックと繋いだ手を離さなくてはならず、それをすれば即座に相手にブルックを掻っ攫われることが容易に推測できるので我慢して、言い争いだけで止めている。
そのお陰で、血みどろの争いだけは避けられているが。そのことに気づいていないブルックは、気が気でなく落ちつかないでいる。
だけど、そんなブルックをまたも2人で気遣い甘やかすから。ブルックは別の意味でも気が気でなく落ちつかないで、耐えられなくなり全力で逃げ出したいのだが。
がっちり、と。握られている両の手のため逃亡は絶望的であり、たとえ万が一逃げ出せたとしても目の前にいる男たちが逃げたブルックをそのままにしておくはずもないのだから、無駄な抵抗で終わりそうである。



(・・・・・なんで、私がこんな目に・・・・・・。)



甘すぎる空気と険悪すぎる空気に耐えられず、半ば意識を逃避しているブルックだが。現状は無慈悲なことに、さらに甘ったるくなり言い争いは激化している。
そんな恋敵に対抗しての行為が、ブルックを追い詰めていることなぞ露にも思わず。好意を惜しむことなく晒す2人は、必死に『ブルック』を求めているのだが。
想い人は気づくどころか、逃避しているので前途は多難である。












((・・・・・それでも、いつか絶対に『俺が1番好き』だと言わせてみせるけどな!))














リクエスト、お待たせいたしました!
ノリノリで書かせて頂きました(爆)が、いかがでしょうか?少しでも気に入ってもらえたなら、幸いです。
今回は船長もゾロと同じ立ち位置=片恋にしてみましたが、とても書きやすか(殴)・・・すみません、片恋スキーでほんと、すみません。鴛鴦夫婦って公式なのに、書くの苦手で(おい)
このような作ですが、リクをくださった方のみ、この話をお持ち帰り可です。(返品も可です)
リクエスト、ありがとうございました!










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