影が戻った。ラブーンがまだ待ってくれていると分かった。
これで約束を果たせると、前に進めると、希望が五十年ぶりに見えて。
そして、同時に。
逝ってしまった仲間に、胸を張って会える日が。
・・・・・・ようやく、見えた。
それが嬉しくて嬉しくて、踊り歌っていれば。
「・・・・あの、ルフィさん?
貴方にがしりと掴まれた背骨が、嫌な音をだしまくりで私、冷や汗が止まりませんよ。」
私、骸骨だから汗なんて出せませんけれど!ヨホホホ!
明るく笑って言ってみたけれど、ルフィが釣られて笑ってくれることはなく。ブルックの骨が軋む音は、鳴り止まない。
ルフィの力が半端ないことを知っているので自身の骨が折れそうで怖いのだが、ルフィがブルックを放す気配は微塵もない。
どうしたものか途方に暮れていると。
「お前、その歌、止めろ。」
思いもかけない言葉を頂いた。
「おや、歌はお嫌いですか?」
しかし、この言葉はルフィのお気に召さなかったようで。骨から出る嫌な音は、危険な音に変わってきた。
「キャァァァァ!!ルフィさん、ルフィさん!力、力緩めてください!
死んでしまいます!」
あ、私、もう死んでいますけどー!
抗議しながら掴んでいる手を必死で剥がそうとするが、ビクリともしない現状に。本気で泣きが入りそうになったブルックだが。
「・・・・・その歌は、なんか嫌だ。」
真剣に誠実に、訴えるルフィの低い声はがらんどうの身体によく響き。
「だから、止めろ!」
返事なんか必要としない強引な、求められる言の葉は乾いた魂によく染みて。
「・・・・。貴方は、本当に、いい、人だ。」
別の意味で、本気で泣きが入りそうになった。
(ようやく見えた、心置きなく死ねる日を。喜ぶ私を厭う貴方は、本当に。)
ああ!でも、その手を放してくださらないと、私、今日で終わってしまうかもなのですよ!!
ヨホホホホ!!!
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