(剣士×音楽家)
好きな人が傍にいてくれる、抱きしめてくれる。
そんな今がしあわせで、しあわせすぎて。・・・・少しだけ、ブルックは怖いと想う。
嘘みたいに愛されるから、夢みたいに大切にされるから。これは本当に現実なのかとブルックは、疑ってしまう。
独りでいたくない願望がカタチになった、泡沫の一時ではないかと疑ってしまうのだ。
・・・・こんなにゾロが近くにいてくれるのに、想ってくれているのに。そんな風に疑ってしまう自分が嫌で、嫌で仕方ない。
だけど疑いが、どうしても拭いきれなくて。確かめるように強く、強くしがみつく細い腕を、ゾロは嬉しそうに笑い。
「・・・・好きだ、ブルック。」
愛しげに、頬に口づけてくる。
その、触れてきたあたたかさに未だ慣れない身体は。ビクッと、過剰に反応してしまう。
けれど、あたたかさに慣れないブルックを。ゾロは呆れたりせず、優しい眼差しで見つめ。
「・・・・好きだ、ブルック。」
穏やかに笑いかけ、ブルックに愛を繰り返す。
その笑顔を、言葉を前にして。ようやく、笑みを浮かべ。
「・・・・はい。」
ぎこちないけれど、頷けたことが。ブルックは、嬉しかった。
大好きな人との、やりとりで。拭えた疑いが、本当に嬉しかった。
(もう独りじゃない、と。しあわせは、ここにあると信じられる喜びは何と得難いことだろう!)
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