(サンジ+ブルック)
相変わらず、食べ終わったブルックは汚れまくっていた。
胸元はもちろんのことだが、顔も腕も腹も脚もアフロも汚れて。汚れてない箇所は背中ぐらいしかないほどに、見事に食べかすまみれである。
しかし当人は全然気にすることはなく。
「美味しかったです。ほっぺたが落ちてしまうほどに!」
あ、私、ほっぺたありませんけれど!ヨホホホ!
嬉しそうに楽しそうに、しあわせを堪えきれないように。料理を褒め称える姿は、まるで子供のよう。
そんなブルックに「もっと、綺麗に喰えよ」とサンジはツッコむが。
それ以上の事は言わない。
否、言えなかった。
・・・・・それは、時々。誰よりも物事の核心を捉えることができる船長が発した一言が、原因であった。
『あんなに怖がりながら、ブルックのやつ、メシ食わなくてもいいのにな。』
その時は、どこが怖がっているのだと誰もが即座にツッコみを入れたのだが。続く言葉に何も返せなかった。
『必死に、俺達がいることを確認しながら食ってる。だから、いつも手元がおろそかになって食べ零すんだろうなぁ。』
もったいねー!!
心底、そう残念がるルフィだったが「・・・・はやく、『当たり前』になればいいのになぁ」、と。
仲間である彼のことも、残念がった。
(・・・・全く、だ。)
心の中で、サンジも同意する。
独りでいることが長く長く『当たり前』であったせいで、ともにいるのにどうしても不安で、確認して確信しないと安心できない淋しさなんざ、さっさと消えてしまえばいいのだ。
だけど、長すぎた孤独だからこそ乗り越えるのは生半可なことではないことも、自分達が口出ししていい領域ではないことも分かっている。
だから、今日も汚れを拭くフキンをブルックに投げつけ。明快に、告げる。
「はやく、綺麗に食えるようになれよ。」
その日が来たら、クルー全員で祝ってやる!!
捏造な話(身も蓋もない)。でも、王国に仕えた団長なら、マナーはとても知っていそうだと思う。なのに、できていないブルックに色々考えてしまうわけです。
戻る