(剣士×音楽家)
可愛いと店員に勧められた全ての花々を買って、ぶっきらぼうにゾロがブルックに差し出せば。
「・・・・・・え、っと・・・・・?」
少し、困ったように首を傾げ。受け取ることを、ブルックは躊躇う。
その、いきなり差し出された花々に躊躇う気持ちを分かっていても。ゾロは、それを気遣う余裕がないために。
「・・・・・受け取らねーなら、捨てる。」
ブルックに、受け取らざる選択しか取れない言葉を口にする。
「え?!や、あの、それはダメです!!」
ゾロが嘘を言わない男だと分かっているブルックは、慌てて差し出された花々を受け取り。そうして、なんだか泣きそうな声音で。
「・・・・・・・あ、の。
私が、貰って。本当に、いいんですか?」
ゾロに、おそるおそる伺うように尋ねてくる。
その、自分なんかに、というブルックの態度に。眉根を寄せて、ゾロは。
「・・・・・俺は、お前以外に。花なんぞ贈る相手なんか、いねーよ。」
そっけなく、告げる・・・・・が。
「・・・・・・・っ!
あ、ありが、とう・・・ございます・・・・・!」
ブルックは、ゾロの言葉にいたく感激したように。全身を、まるで泣いているように震わせながら。
「たいせつに、します!!」
宝物を掻き抱く子供みたいに。贈られた花々を大切に、大事に腕に収めた。
そんなブルックの姿を見て、非常に熱が集まってくる己の頬を隠すようにしながら。
「・・・・・・おう。」
ゾロは、またもそっけなく答えるが。
「はい!」
満面の笑みで、ブルックは応えてくる。
その声を、背にしながらゾロは。
(・・・・・・・・ああ、くそ!
たかが花、贈っただけだってのに!なんで、こんな恥ずかしいんだか!!)
慣れないから、恥ずかしいんだよな!
好きな相手に花を贈る照れくささに顔を顰めながら、ヤケクソ気味に想う。
・・・・・でも、心底しあわせそうに花を手に笑っているブルックの笑顔を、また見たいがために。
これからもブルックに、花を贈り続ける自分に。恥ずかしさで唸っている、ゾロはまだ気づいてはいない。
(ただ、しあわせに。いつだって、笑っていてほしい。)
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