(剣士×音楽家??)


女装表現があるので、苦手なかたはご注意を!!
大丈夫な方は、下へスクロールされてください。
























眠りから目覚めたゾロの視界の先にて、映った『白』は。

「あ、おはようございます。ゾロさん。」

陽気に暢気に、笑って踊って。

「ヨホホホ!シアワセのお裾分けです!」

白いベールを、空に舞わせて。白い花を、ゾロに差し出してきた。
しかし、その行為と言葉は唐突で、起きたばかりのゾロには状況がまるで分からず。
そして常とは違うブルックの今の姿のために何も言えず、何も受け取ることも出来ずに固まるゾロに気付くことなく、ブルックは嬉しげに。歌う。

「先ほど、お手伝いをしたお礼に頂いたものでしてね!正真正銘の花嫁さんのブーケとベールです!」

綺麗でしょう!ヨホホホ!

くるくる、と。
見せびらかすようにブルックは廻るが、けれどブーケの花が散らないように、ゆっくりと。
そして、いつも被っている黒のシルクハットを脱ぎ捨てて身につけた白のベールも廻る動きに合わせて、ゆったりと。魅せてから、また、歌う。

「・・・・・なんでも大事な結婚式の日に、バックコーラスを担当する音楽隊全員が食中毒になってしまったそうで。
大変にお困りになって途方に暮れていたようなので、私、不肖な身なれどお手伝いさせていただきました!
シアワセな二人のシアワセな門出を祝うため、骨身を惜しまず頑張りましたら!
なんだか、新郎新婦にとても感謝されまして。この品を、私にくださいました。
・・・・・私は知らなかったのですが、この島では式を終えた新婦の衣装は『シアワセ』の加護を与える祝福の証らしくて。
『初対面なのに、ここまでよくしてくださった貴方にこれから先のシアワセの加護をどうぞ』って、新婦さんからこれらを渡された時は、私、目が潤んでしまいました。
・・・・あ、私、目玉がなかった!ヨホホホ!」

笑いながら、状況を教えてくるブルックはその新婦から受け取った真白のベールを被り、祝福の花束を手にしているものだから(流石に純白の衣装は譲られることはなかったのだろうが)。
さっきまで見ていた夢のせいで、どうしたってゾロの目には今のブルックの姿は『花嫁』にしか見えないので。・・・・・ゾロは呻く。

(・・・・夢、が続くなんてあるのかよ・・・・)

苦虫を噛み潰したようなゾロの表情に気付いてはいるのだろうが、変に聡い紳士は「聞かれたくない」と察しているのだろう。あえて愚鈍に、気付かないよう振る舞い。

「だから、私、皆さんに頂いた『祝福』を配っているんです。」

シアワセになるなら、やっぱり皆さんも一緒でないと!

その時の嬉しさを噛み締めるように。その時の楽しさを抱き締めるように。その手にある花束を、包み込みながら高らかに、歌い終わったその姿が。

少し、だけ。眩しかった。

だから、だろうか。
いまだ動かないゾロに無遠慮に近づいて、白い花を押し付けるようにしてゾロの手に触れたブルックの顔が。上手く見れなかった。
そして。

「・・・・シアワセに、なってくださいね。」

祈るように願うように。静かに伝え、笑うブルックの顔が。

「・・・・・、っ!!!」

まともに見れなかった。

・・・・・そうして何も言えないまま、視線さえ合わせられないでいるゾロに、けれどブルックは追求するようなことは何も言わないで。

「お休みのところ、お邪魔しました。失礼しますね。」

一礼して、気をきかせて去ろうとするから。
せめて、受け取った花の礼だけでもと、何とかゾロが四苦八苦しながら伝えれば。

返ってきたのは、満面の笑み。

夢で見たのとは違うけれど、でもシアワセそうなそれに。




バタン、と。




ゾロは、その場に突っ伏す。
そんなゾロの様子に首を傾げつつも、先ほどからのゾロの様子からしてそっとしておこうと決めたブルックは、言葉を発せずその場を後にしたので気付かなかった。
倒れたゾロの真っ赤に染まった顔と、それを隠そうとする腕もまた赤く染まり震えていることと、そして、とうとう本心に辿りついてしまった本人に。
気付くことなく、『今回』も負かしていた。








(夢でも、現実でも。その笑顔でもって、いつも白旗を揚げさせる罪なヒト。)










やっちゃた!
抗議文が来なかったし、好意的な意見があったから上げてみましたけれど、ものすごい恥ずかしいもの上げてますね、私!(半ばヤケ)
そしてブルックの普段の黒服と花嫁ブーケというチグハグな格好に、ひそかに萌えていた私は死罪です(爆)アンバランスなところが可愛くない?!という意見は切って捨てられましたが。・゚・(ノД`)・゚・。
後悔はないです(言い切った!?)
このあと、辿りついた迷子に口説かれて負け分を取り返されてしまえばいいよ。そしてシアワセになればいいよ!








戻る