(麦×音楽家←剣士・コック)







注・サンジはブルックを「レディ」呼びします。










新しい島に着き。船番を決めて、いざ上陸をしようとしたときに。

「行くぞ、ブルック。」
「行きましょう、レディ。」

ゾロとサンジ、二人同時にブルックを誘ったのが事の発端だった。

「俺が!レディをエスコートするから、てめーは消えろ!!」
「俺が!ブルックと出掛けるんだから、てめーこそ消えろ!!」

決して互いに譲ることをしないため、話しあいは平行線で進むから。ブルックが、「三人で行きますか?」と伺いを立ててみたけれど。



「「却下」」



にべもなく、斬り捨てられた。
そうして、今は暴力を織り交ぜながらの口論を。目の前で行われているブルックは、どうしたらいいのか分からず固まっている。


(・・・・・ううう。船番のナミさんは、付き合ってられないと中に引っ込んでいますし。他の皆さんは、もう降りていかれたので助けを期待できないなか。
 私一人で、この二人をどうしろと??)


一向に終わる気配のない、争いに。遠い目をして現実逃避をしているブルックに。



「あいつら、まだやってんのかー?」



両手一杯に、果物を抱えたルフィが戻ってきた。

「あ、お帰りなさい。ルフィさん。」
「おう、ただいま!!」

満面の笑みで、ブルックの言葉に答えたルフィは。自分が持って帰ってきた果物を、早速食べ始めた。
けれど、30秒も経たない内に食べ終わったルフィは。
 
「うー、腹減ったーーーー!!」

切なそうに、大声で叫んだ。
・・・・・まあ、確かにルフィの食欲を考えたら全然足りない量ではあったが。それでも、食べたすぐ後のその台詞は如何なものかと苦笑を落としながら、ブルックは。

「良かったら、コレもどうぞ。」

持ち歩きしている、ポットに入っている紅茶をルフィに差し出した。

「お、ありがとう、ブルック!!」

あまり腹の足しにはならない、それを。けれど、嬉しそうに飲み干したルフィは。

「・・・・・・そうだ!ブルック、これ、やるよ!!」

ポケットから取り出した、石をブルックに手渡す。
その石は、なんだか良く見てみると。

「・・・・・・クジラ、に。見えますね。」
「だろ!!だろ!!!」

渡した石を、何も言わずともクジラに見えると言ったブルックに。心底、嬉しそうに笑いながらルフィは。



「ラブーンみたいだったから、ブルックに持ってきたんだ!!」



この石を贈りものに選んだ理由を、楽しそうに教えてくれた。
そのルフィの心遣いに、ほんわかと心を温かくしたブルックは。やわらかな、しあわせな笑みを浮かべて。

「・・・・・・ありがとう、ございます。大切に、しますね。」

愛しげに、貰いものの石を両手で抱きしめながら。誓いの如くに、厳かに告げる。
そのブルックの姿と、答えに。

「しし、そうか。」

ルフィも、満足そうに笑いながら。答えると、同時に。



「「何、やってやがる!!ルフィ!!」



本気で潰しあいをしている最中だというのに、ブルックとなんだかいい雰囲気になっているルフィに気付いたサンジとゾロが、怒声を張り上げる・・・・・・・が。

「石、やったんだ。」

あっさり、と。気にせず、答えるルフィに。


(・・・・・・お二人から、ものすっっっっっごく恐い顔で睨まれているのに。
 平然、といて。しかも答えるなんて、すごいですねルフィさん。)


感心しながら、見つめているブルックの姿に。サンジとゾロの表情は益々、恐ろしいものになっている。
しかし、一向に気にしないでいる大物な船長は。

「・・・・・俺、腹減ったから。また果物取ってくるわ。」

食欲の赴くまま、マイペースに、出かけようと右腕を伸ばしたと同時。

「・・・・・・・・え?え、えええええええ!!?」

ブルックを、左腕に抱え込んでから。ルフィは、船から大きく飛んで降りた。




「「・・・・・・・てめええええええええええ!!!」」



それを不覚にも見送ることとなった、サンジとゾロの怒りが満ち満ちた声を耳にしたブルックは。
不可抗力とはいえ、結果的に誘ってくれた二人を置いていってしまった現状に「後が本気で恐いんですけれど!!」と、戦々恐々としているのだけど。

「果物が生っている途中で見かけた、赤い花!ブルックに、すげえ似ていたんだ!!
 きっと、見たら驚くぞーーーー!!!」

ブルックに似た赤い花を見せたくて、あの場から連れ出したルフィが。

「本当、似ていたんだ!!綺麗なところが!!」
「・・・・・・・・は?」

なんだか、とんでもないことを口にしたので。思わず、ブルックの思考が止まった。

(・・・・・・綺麗、が。似ている、って・・・・・・・え、え??)

それは、どういう意味だと聞いてみたいけれど。でも、どんな答えが返ってくるのかルフィだけに予想ができないブルックは、賢明にも口を閉じていたのだけれど。

「ブルックみたいに、綺麗な花だったから。俺、あの花、好きだぞ!!」
 
ルフィの口から出てきた、「好き」という言葉に。ビックリして、口を閉じていられなくて、「好き!?」とブルックがオウム返しに口にした言葉に。

「?愛してるって、言った方がいいのか?」

なんて、あっさり返された告白に。ブルックが、撃沈されたのは言うまでもない。
・・・・・・ちなみに。
ルフィの告白にブルックが何と返したかは、二人に追いついてきたゾロとサンジがものすごい形相で睨みつけている前で、しあわせに笑ってブルックを離さないでいるルフィだけの秘密である。














ルフィ落ちということで、頑張ってみました麦骨!
だけど、このあと。ルフィVSゾロ・サンジが繰り広げられることになることは確実だと思われます(爆)

そして、ブルックさんは「綺麗」だと思います!たとえ「骨だろ!?」と反論されても、そこは譲れませんから!!

ジスト様、大変お待たせしました!どうか、お納めください。
そして、今回のssで1周年企画リク達成しました!参加してくださった皆様、ありがとうございます!










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