朝帰りしてきたヨーキは酒と煙草と、そして夜の相手をする女性だけがつける香水の匂いを全身に纏っていたために。それに気付いた、恋人であるブルックの機嫌は相当悪くなった。
そして、そんな判りやすい『浮気をしてきました』とでかでかと宣伝している身体でブルックに抱きついてきたので。殴りとばしてやろうかと、拳を固めたブルックだったが。

「・・・・・あいしているぞー。あいしているぞー。あいしているぞー。あいしているぞー、ブルック。」

半分以上、意識を夢のなかに飛ばしたままではあったが。寝言に近い、戯言ではあったが。ぎゅうぎゅうとブルックを強く強く抱きしめて、拙いけれど愛の言葉を繰り返し繰り返しヨーキは告げるから。
一晩、女と過ごした決定的な証拠を今回は見なかったことにしてやろうかと。腸煮えくりかえる苛立ちを己の裡に収めてやろうかと、ほだされかかっていたのに。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・だいすきだー。キャサリン。」



この一言で。ブルックの寛大さは無くなった。



「・・・・・・。そう、ですか。『キャサリン』さんが、大好きですか。」



怒鳴られ詰られ怒られた方がマシだと心底思える平坦な声、感情の全く籠らない能面の顔、斬りつけるほどに冷たすぎる空気に。夢の世界に片足以上突っ込んでいるヨーキは、しあわせなことに気付いていない。

「なら、その『キャサリン』さんと一緒になれるように。別れてあげますね。」

そうして、躊躇わずサクサクと別れ話を進めていくブルックに。意識がほとんどない状態のヨーキは、しあわせなことに気付いていない。

「ああ、安心してください。私の貴方への想いは、後腐れなく今きっぱりと捨てますから。そして今から仲間としての想いしか持ちませんので、ご安心ください。」

だから。どうぞ、『キャサリン』さんと末長くしあわせになってくださいね!

そう、言い切った瞬間。ブルックは容赦なく、ヨーキを殴りとばした。
そして派手に殴り飛ばされた所為で目が覚めたヨーキが、ブルックの突然の暴力に食ってかかるが。



「お祝いの門出の一撃です。」



全開笑顔(目は全く笑っていなかった)で答えたブルックに、「なんだよ、それは?!」と怒り怒鳴っているヨーキだが。ブルックが己に三行半を突き付けたことに、しあわせなことにまだ気付いていない。
そして、ブルックも。恋人である自分には「愛している」で、『キャサリン』という夜の女性には「大好きだ」と言い方を変えているヨーキの愛の言葉の真意に。ふしあわせなことに、まだ気付いていない。








(・・・・だけど、互いにそれに気付けば。派手な夫婦喧嘩のあとに、仲直りが待っている。)










・・・・・の、のりのりで書きすぎてやりすぎた気がするのは私の気のせいでしょうか??←気のせいでは決してないですから。
えー、補足という言い訳をさせてください。(おい)
酔っぱらいに絡まれていたお姉さんを助けたお礼に「一晩、どう?」と誘われたけれどブルックという恋人いるから、一緒にお酒を飲むだけで決してヨーキ船長はキャサリンさんに手はだしていないです。
そして恋人には「愛している」でその他は「大好き」で、きちんと愛情と好意の区別をしていますが。けれど、また迂闊にも。
そんな事情・区別を知らないブルックの前で女の残り香させて、女の名前とともに「大好きだ」って言うから。ブルックを怒らせております。


・・・・・・誤解といて仲直りするの、大変ですね!←書いたの貴方ですから!!

やりすぎた作ですみません。もし、気に入らないようなら書きなおしいたします。
リクをくださった林様のみ、この話をお持ち帰り可です。(返品も可です)
リク、ありがとうございました!!












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