(剣士←音楽家で音楽家←剣士)








甲板に座っているブルックは、酷く落ち着かない様子で自身の服の袖を弄ったり、うろうろと視線を彷徨わせ。隣に座っているゾロを、なるべく見ないようにしながら。

「あ、あの!!ゾ、ゾロ、さん!!!!」

うわずった、切れ切れの声で呼びかける。
普段にない状態のブルックに。ゾロも釣られるように僅か、うわずった声で。

「・・・・おう。」

返事を、返しながらも。ブルックが何を言うのかと、緊張しつつ言葉を待っていると。

「あ、の。そ、の私、私、す、すすすすすす!!!」

両手を組み、握りしめながら。どもりながら、一生懸命にブルックは。

「す、すすす・・・・・・・すごく、いい、天気です、ね!!」

天気の話を、してきたので。晴れた空を、見上げた後にゾロは。

「・・・・そうだな。」

頷いて、答える。
だけど、そのゾロの答えを聞いて。ブルックは泣きそうに顔を歪めたあと、俯いて震えている。
そんな、あからさまに落ち込んでいるブルックの姿に、ゾロは酷く驚き、焦るが。今の答えの、何が悪いのか分からないために。

「・・・・・・・っ!」

言葉が出ず、詰まる・・・・・が。なんとか慰めようとして、おそるおそるとゾロはブルックの頭を撫でる。
けれど、そんなゾロの触れあいにも全く気付いていないブルックは。

「・・・・・・・・・・・あ、あああああああ、の!私、私、ゾロさんが、すす、す!!!」

必死で。またも、なんとか伝えたい(だろう)言葉を紡ぐが。

「す、すすすすす・・・・・・・・すすごく、いい天気です、よね!!!!!」

先ほどと変わらない言葉を、また繰り返したので。ゾロは、少し考えてから。

「・・・・・いい、天気で。よかったな。」

さきほどと違った、言葉をかえすも。またブルックが泣きそうになっているので、慌ててゾロは、ひたすらブルックを慰めている。
そして、その光景を見ていたウソップは。







「・・・・・・・・・・・・・・・。
 なんだかなあ。」







重い、重いため息とともに。遠い目をしながら、零す。

(・・・・ブルックが何を言いたいのか、様子を見れば分かるだろうに。なんで、分かんないんだよゾロは・・・・・・・)

・・・・・・ブルックは、ゾロに「好き」だと告白したいのだ。
だけど、いざ本人を前にすると「す」までは言えるのだけど、そのあとの「き」が、どうしても言えず。誤魔化して、他の言葉を紡ぐ自分に泣きそうになり、落ちこんでいる。
それを気付かないゾロは、自分の答え方が悪かったと勘違いして死にそうな顔でブルックを、慣れない手つきで懸命に宥めている。

(・・・・・・いくら、告白に失敗して落ちこんでいるとはいえ。なんで、分かんないんだろうなブルックも・・・・・・・。)

だいたい天気の話なんていう、たわいない話を言って。それを言った後に泣きそうに落ち込んでいる奴のことなんて、呆れて放っておくのが常のゾロが。
傍から離れず、献身的に慰めるなんて、ありえない『特別』扱いをされていることを。ブルックは、気付かないまま落ちこんでいる。


(・・・・・・あんなに、あからさまに意識しあっているのに。本当に気付いていないんだろうか、あの二人・・・・・・。)


疑惑の眼で見続けるウソップの視線の先にいるブルックとゾロは。けれど、さっきと変わらぬやりとりを延々と、繰り返し続けていた。









(・・・・・・・・あの2人はわざとやっているんじゃないかと部外者の俺は思う、お前らぶっちゃけ両想いだろ。)










大好きだなー、両片思い!!!
こう、じれったい感といいますか。必死さといいますか。いじらしさといいますか。全部、含めて大好きで仕方ない。
両想いも好きなんですが、片思い(両片思いも含む)が一番好きという斜めな好みなために、ssが甘くない仕様ですみません(土下座)











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